■年金カット法案により老後破産が…

 こうした“禁煙ファシズム”ならまだしも、“庶民排除”の気配も漂う。今後、多くの人々に“老後破産”が現実に訪れそうなのだ。「昨年末に安倍政権が強行採決した“年金カット法案(年金制度改革法案)”が、非常に大きいです。この法案の目玉は、日本人の平均賃金が下落すれば、年金支給額もシンクロさせて減らす、というもの」と言うのは、ベテラン政治記者。「国税庁の調査によれば、民間企業に勤める人の平均年収は、422万円(16年度)。バブル崩壊後、1990年代の467万円をピークに、ゆるやかに下がってきています。下降トレンドの真っ只中です」(前同)

 要は今後、“勤め人の給料は減るし、年金もどんどん減る”。消費増税で、物価が上昇の一途であるにもかかわらずだ。戦慄のこの制度、「厚労省の試算だと、国民年金で年間2万4000円、厚生年金で年間8万4000円の減額になっています」(同)

●年金に“マクロ経済スライド”の適用

 それだけではない。前出の森永氏が、こう言う。「年金に、“マクロ経済スライド”が適用されます」

 かつて、物価上昇(下落)率が、そのまま年金支給額に反映されてきたが、15年度より“なんとなく、日本経済全体のこと(マクロ)も踏まえて、年金を下げていく”となった。これが“マクロ経済スライドで、この適用をもっとシビアにやっていく”というのが、今回の“年金カット法案”だという。「つまり物価上昇分だけ、実質年金が下がり続けることになるんです」(前同)

●インフレを呼び込み、年金支給開始年齢も引き上げの可能性

 だが、先に書いたように、消費増税はインフレを呼び込むこと必至。巧みに生きるべく、ジタバタしても、「年金支給開始年齢も、将来、70歳、あるいは、それ以上に引き上げられる可能性があります」(経済評論家の川口文武氏)

 そうなれば、老いても病んでも労働だ。「投資額が全額、所得控除となる“個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)”を政府は今年からスタートさせました。控除額も大きく、利用者も多いのですが、ここからも透けて見えるのは、“自分の老後は自分でなんとかしろ”という政府の基本方針」(前出の文化部記者)

■政府の借金1000兆円を減らすには増税も仕方がない!?

 増税下、庶民は貯蓄もできず、老後も保障されない。だが、「1000兆円」といわれる政府の借金を減らすには、増税も仕方がない!? 「政府の連結財務諸表を、日本銀行の分を含めた統合政府のバランスシートで見ると、負債から資産を差し引いた借金はほんの50億円。また、前回、消費税が引き上げられた際、増税分の9割が法人税の減税で相殺されたという話もあります」(前出の川口氏)

 政府は、大増税の前にすべきことがあるのではないだろうか。

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