自衛隊「2018年こんなに強くなる!」日の丸精強部隊の実力の画像
自衛隊「2018年こんなに強くなる!」日の丸精強部隊の実力の画像

 度重なる弾道ミサイル発射実験を強行した北朝鮮。風雲急の中、自衛隊が変わろうとしている。

 政府は2018年度の一般会計予算の総額を過去最大となる97.7兆円に設定したが、同じく国防費も約5.2兆円と過去最高額となった。17年11月、初来日し、安倍晋三首相との首脳会談を終えた米国のトランプ大統領は、共同記者会見で「日本は今後、ものすごい量の(米国製)兵器を買うことになる」と発言している。過去最大となった国防費とこのトランプ発言が相まって、一部メディアは「日本政府が北朝鮮危機につけ込まれて、米国から高額な兵器を売りつけられている」と報じた。「これは見当違いだと言えます。実は、国防費の大半は自衛官の人件費。一概に米国から装備を購入するために、国防費が増えたとは言えません」(軍事ライターの黒鉦英夫氏)

 米国が“世界一の軍事大国”であることは言わずもがな。「米国だけで世界中の国を相手にしても、戦争に勝利することができる」と分析する識者も少なくない。「米国の国防費は世界最大の約65兆円。これは日本の12倍以上です。新装備の研究予算も世界一ですから、次々と新型の装備を生み出しています。レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機や各種無人機、高性能ミサイルなど、ハイテク装備の充実が、米軍をして最強の軍隊たらしめているわけです」(黒鉦氏)

■アメリカ製武器をライセンス生産

 こうした米国製兵器の主要な供給先の一つが、日本というわけだ。自衛隊幹部が実情を明かす。「自衛隊の運用する装備には、米国製のものが少なくない。ただ、それらを完成品のまま輸入することは少なく、ライセンス生産といって、設計図を提供され、日本の企業が国内で製造した装備が多い。これによって、日本は米国の技術を習得できるし、日本独自の改良を施し、オリジナルの米国製装備よりも性能を向上させたケースもあります。技術力で劣る中国やロシアは米国製の装備が欲しくてたまらないけれど、それは絶対にかなわない。一方、米国の優れた装備を継続的に購入できる日本には、軍事的なアドバンテージがあると言えるはずです」

 米国製の装備は、日本以外の米国の友好国にも輸出されているが、日本のように設計図を供与され、自国でライセンス生産している国は少ない。また、「米国も日本の技術力を高く評価しているため、日米共同開発を行っている分野も少なくない」(前同)

 こうして見てみると、「米国から高額な兵器を買わされて、税金を無駄使いしている」という指摘は短絡的であることが分かるだろう。

■北朝鮮の暴走により、自衛隊が岐路に

 とはいえ、国防費が過去最大規模に膨れ上がっているのは事実。これは、自衛隊が今、“岐路に立たされている”からだという。その原因は、北朝鮮の暴走が日本の安全保障環境を激変させているためだ。「日本国民は、こうした北朝鮮の暴挙に慣れてしまっている部分もあるが、普通に考えれば、これは異常なこと。海を隔てているとはいえ、隣にこれだけ危険な国家があるということは、備えを怠ってはならないということです」(同)

 専守防衛を旨とする自衛隊は、これまではいわば“楯の軍隊”だった。「軍事同盟を結ぶ米国が“槍”で、自衛隊は“楯”というイメージです。野球で言えば、米軍がピッチャーで自衛隊は守備専門。自衛隊は、一見すると普通の軍事組織のように見えますが、本当は偏った陣容なのです」(防衛省関係者)

 たとえば、自衛隊は長射程のミサイルや爆撃機を持たない。「これらは“攻撃用兵器”と映るからです。自衛隊にもミサイルや爆弾がありますが、これらは皆、日本の領空、領海、領土に侵出してきた敵に対する自衛のための武器に過ぎません。たとえば、航空自衛隊にはKC-767という空中給油輸送機があります。この機体は、戦闘機に空中で給油するための“空飛ぶガソリンスタンド”ですが、導入に際しては周辺国に神経を使いました。戦闘機の空中滞在時間を延ばし、多様なミッションをこなせるようにと導入したに過ぎないのですが、“日本は戦闘機の航続距離を延ばして、他国に攻め込むつもりなのか”という邪推があったからです」(前同)

 こうした慎重に慎重を重ねてきた方針が、北朝鮮の脅威により転換を余儀なくされたのだ。軍事ジャーナリストの井上和彦氏が言う。「ようやく、基本的な装備品が配備されるようになってきたと言えますね。ただ、それとて、専守防衛の枠を逸脱してはいません。自衛隊の装備を巡っては長年にわたり、“そうした装備は防衛にしては行き過ぎだ”といった政治的議論があり、遅々として有効な装備の配備が進まなかった事情があります。それが、今般の北朝鮮の暴発を目の当たりにして、ようやく政府も、“基本的防衛システムを整備しないと本当に危ないぞ”と、考えるようになったわけです」

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