■中国海軍は50年経っても米国に追いつけない
お次は海上戦闘部門。島国である日本は、伝統的に海軍力には定評があるため期待が高まる。先に順位を明かしておくと、金は米国、銀は中国、銅が海上自衛隊となる。「金メダルはやはり米国ですね。建造中のものも含め、原子力空母12隻、原潜を含む戦闘艦艇が約170隻と、突出しています。陸海空の戦力を比べると、海軍力の突出が著しいですね。中国海軍は念願の空母を就役させ、現在も建造中ですが、50年経っても米国に追いつくことはできないでしょう。沖縄や尖閣に進出したくてたまらない中国ですが、海軍力では米国と“大人と子どもの差”があります」(前出の笹川氏)
それでも、中国の海軍力の伸張には目を見張るものがあるという。「ミサイル駆逐艦、原子力潜水艦などの新型艦艇が続々就役しています。ただ、遠く離れた海域で行動する外洋海軍となってからわずか四半世紀程度のため、経験不足の感は否めません」(竹内氏)
中国がAI(人工知能)搭載の無人原子力潜水艦の開発に着手したとの報道もあったばかり。米国を逆転するため、新装備の開発に傾注していくのだろうか。「帝国海軍の末裔である海上自衛隊は、防空戦闘に長け弾道ミサイルの迎撃も担うイージス艦を筆頭に、和製イージスと呼ばれる『あきづき』型、水上戦闘なら無双の性能を誇る『たかなみ』型など、各種護衛艦が充実しています」(黒鉦氏)
加えて、『そうりゅう』型潜水艦は、通常動力艦(非原子力)では世界一の性能で、前出の井上氏は「中国の空母なら、『そうりゅう』型1隻でも撃沈できると思います」と指摘する。「現在、全通甲板を持つ『いずも』型護衛艦を軽空母に改修し、短距離離艦・垂直着艦が可能なF-35Bステルス戦闘機を搭載するプランが検討されていますが、これが実現すれば、さらに日本の海軍力は大きく上昇します」(黒鉦氏)
4位はロシア、5位にはイギリスが入賞。「旧ソ連時代より海軍力は低下していますが、保有する艦艇の質量では米中に次ぎます。現在は新型艦艇の導入も進めているが、やはり財政難がネックですね」(前出の竹内氏)
かつて世界の海を股にかけたイギリス海軍は、「外洋海軍の運用実績があり、新空母クィーン・エリザベス級も就役し、高い攻撃力を誇るアスチュート級原潜など、バランスの良い海軍力」(黒鉦氏)だという。
■世界最強の特殊部隊!
最後に、少数精鋭を旨とする現代戦に不可欠な特殊部隊部門を見てみよう。「グリーンベレー、デルタフォース、シールズといった特殊部隊を持つ米軍が、世界最強でしょう。次いで、スペツナズを擁するロシアですね。ロシアは旧KGBの流れを汲む治安維持用の特殊部隊も充実していますが、これらは、もっぱら国内で運用される部隊です」(笹川氏)
銅メダルを強奪しそうなのが、なんと北朝鮮だ。「10万人規模の特殊戦闘要員を軍の偵察総局が管轄していると推測されます。彼らには暗視スコープなど、優先的にハイテク装備が支給され、食糧不足でも常に安定した食事が供給されているようです。有事の際は韓国や日本に潜入し、爆破テロなどの陽動作戦を行う可能性も」(黒鉦氏)
4位にはあらゆる特殊部隊のお手本とされるSAS(英陸軍特殊空挺部隊)を擁するイギリス。5位には、「特殊工作員を育てるプログラムがあり、中国などからの留学生を指導している」(笹川氏)とされるイスラエルが入賞した。実際に戦火が上がることなく、誌上で優劣を競う余興にとどまることを願う。