「本当に危険な腹痛」その重大サインとは?の画像
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 お腹を下しただけと悔ることなかれ。その激痛が重い病気の兆候ということもある。用心に越したことはないぞ!

■名優・大杉漣の命を奪った痛みの原因とは!?

 映画からテレビドラマまで幅広く出演し、名脇役として活躍していた大杉漣さん(享年66)が急死したニュースは、世間に大きな衝撃を与えた。「テレビドラマのロケを終え、2月20日午後9時頃に共演者らと食事へ行き、ホテルの部屋に戻ったところで腹痛を訴えたそうです。共演者の松重豊さんがタクシーで病院に運んだそうなんですが、翌21日、午前4時前に急性心不全で帰らぬ人となってしまいました」(芸能記者)

 これといった持病はなかったといわれる大杉さんの突然の死。死因である「急性心不全」とは、いったいどういう病気なのか。内科医として約30年、数多くの臨床経験のある医学博士で、「京都産業医事務所」の橋本惠所長は言う。「大杉さんは、私も実に味のある役者さんだと思って、ずっとファンでした。ご冥福をお祈り申し上げます。急性心不全というのは、急に心臓が機能しなくなった状態を指す言葉であって、かなり大雑把な“病名”ということになります。出ている情報だけからの判断になりますが、大杉さんの死因は、心筋梗塞などの虚血性心疾患かアナフィラキシーショックだったのではないかと推測されます。アナフィラキシーショックとは、ご存じない方も多いかもしれませんが、強烈なアレルギー反応で、腹痛で始まることが多く、急速に進行して死に至ることも多い疾患です」

 また、『死に至る病気の兆候を見つける本』(サンドケー出版局)の著書もある医療ジャーナリストの牧潤二氏も、ほぼ同意見で、こう付け加える。「心臓は胃の上部に位置しているので、特に食事後は、膨らんだ胃が心臓を圧迫し、発作が起きやすいのです。腹痛が心筋梗塞の予兆だという事例も多くあります」

 しかし、なぜ心臓の疾患で、胸の痛みではなく、腹痛が起きるのか。前出の橋本氏が説明する。「“放散痛”といって、患部から離れた場所が痛むことがあるのです。たとえて言うならば、“神経の混線”みたいなもの。昔よくあった電話の混線と同じです」

 単なる腹痛と侮ってはいけない。このように、重大病の予兆でもある「危険な腹痛」もあるのだ。「心筋梗塞以外にも、腹痛が死に至る重大病のシグナルであるケースは数多くあります。お腹は、まさに臓器が集中している場所ですからね」(前出の牧氏)

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