「ご当地ラーメン」全国美味探訪の画像
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 世界中が注目する「和食」の中でも、ひときわ輝きを放つニッポンの汁麺。オリジナルな食文化にズズッと迫る!

 日本人の国民食と言っても過言ではないラーメン。高い人気を背景に、全国各地で次々にユニークなご当地ラーメンが誕生している。「近年は町おこしの一環としてご当地ラーメンに取り組む地方が急増中。伝統の味に斬新な試みが加わって百花繚乱の賑やかさです」

 こう解説するのは、本誌人気連載『極うま麺』でおなじみのフードジャーナリスト、はんつ遠藤氏。「南北に長い日本列島は、北から南までローカル色豊かなラーメンが楽しめます。寒冷な北海道で、熱々の味噌スープにラード(豚の脂)を加えた味噌ラーメンが生まれたのも納得です。麺の太さが北から南に向かうにつれて細くなっていく傾向があるのも面白いですね」

 東京、大阪など大都市では各地のラーメンを味わうことができるが、やはり、ご当地ラーメンは現地で食べるのが一番うまい! というわけで、さっそく全国47都道府県のご当地ラーメンを食べ歩くことにしよう。

■北の大地から生まれた味噌ラーメン

 さて、ご当地ラーメンといっても、ベースにあるのは味噌、醤油、豚骨、塩の4大ラーメン。そのバリエーションから、多彩な味が生まれるのだ。まずは、北の大地から生まれた味噌ラーメン。同じ北海道でも、札幌の味噌、旭川の醤油、函館の塩といった具合に、それぞれの街を代表するラーメンがあるが、オリジナリティという意味では、札幌の味噌ラーメンに軍配が上がる。「札幌『味の三平』が味噌ラーメンの元祖とされています。熱々のスープが冷めないよう、ラードの層でスープを覆っているのが特徴で、麺は極太麺が標準。スープは豚骨、魚介、野菜など店ごとに工夫を凝らしています」(グルメ誌記者) コーンやバターをトッピングすれば、北海道らしさを満喫できること請け合い。

 同じ味噌ラーメンで、根強いファンが多いのが仙台ラーメン。「大豆を長期間発酵させた風味豊かな仙台味噌を使用しており、レンゲに乗せた辛味噌を溶かして味を調整する『味よし』は人気店のひとつ。他にも優しい味の白味噌を使った店や、黒、赤、白の三種の味噌を選べる店もある。仙台は、伊達政宗公の時代から味噌が特産品ですから」(前同)

 ラーメン激戦地・新潟の味噌ラーメンを代表するのが、弥彦ラーメン。「味噌が濃厚なので最後は割りスープにする人も多いですね。豚の背脂がギラギラした燕三条系ラーメンと共通する、コッテリした味わいが人気の秘密です」(食品コンサルタント) 米・酒どころの新潟は、味噌の名産地でもある。「実は札幌の味噌ラーメンも、味噌は新潟から取り寄せている店が少なくないんですよ」(前出のはんつ氏) 新潟の味噌ラーメンがうまいのは当然なのだ。

■絶品の醤油ラーメンや塩ラーメン!

 お次は醤油ラーメン。札幌の味噌、博多の豚骨と並んで日本3大ラーメンと称される喜多方ラーメンは、その代表格だ。あっさりした醤油味の豚骨スープ、太めの縮れ麺が特徴だが、煮干しや魚介系とのWスープの店、塩味の店もあり、一概には定義できない。「むしろ、特徴があるのは麺。喜多方ラーメンでは、一般の麺よりも水分を多く含んだ平打ち熟成多加水麺を使用。麺のもっちり感は、そこから生まれるんです」(ラーメンライター)

 福島の白河ラーメン、栃木の佐野ラーメンも同じ系統だが、白河は幅広の縮れ麺で濃い味、佐野は青竹を使って打ったコシの強い麺で、あっさり味だ。

 一方、醤油ラーメンの元祖といえば、東京ラーメン。「東京にいると、たいていのご当地ラーメンが食べられますが、何の変哲もないラーメンが意外にうまかったりするんですよね」と言うのは、街中華に造詣の深いエッセイストの下関マグロ氏。鶏ガラ、煮干し、削り節、昆布などを使った和風だし。中細麺が浮かび、刻みネギ、メンマ、ナルト、焼海苔などが乗るシンプル・イズ・ベストな極上の逸品だ。

「凝ったラーメンじゃない分、気軽に食べられるのが東京ラーメンの魅力です」と言うマグロ氏が絶賛するのが、激戦区・新潟の長岡ラーメン。「濃口醤油に、ナマの生姜を効かせた豚骨ベースのスープはコクがあるのに後味スッキリ。生姜効果で体がポカポカ温まるのも、雪国のラーメンらしくていいですね」(前同)

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