ギャンブル「AI予想」は儲かるのか?の画像
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「年齢がいくと、一日がアッという間に……」と誰もが口にする感覚。まるで昨日のことのように数年前のことを語ってしまう中年たち。時が進んでいることを忘れがちだ。確かに長く続く不景気。バブル時代のように、新しいビルが毎月のように建つことはなく、目に見える形での文明の進歩は、ひと昔前に比べてゆっくり静かに感じる。

 しかし水面下、いや、デジタルの世界では数年前とは大きく違っているのだ。「アナログスタイルの俺の人生とは関係ない!」 タイトルのAIの文字を見て、そう感じた人。それは大間違い。これから話すAI(人工知能)に関しては、間違いなくオジサンの生活に影響、いや支障をきたす問題なのだ。

 ここ最近、AIに関してニュースになる確率が高いのが将棋の世界。プロ棋士とAIの対局、電王戦は多くの注目を集めている。そして互角以上にAIが勝利を収めているのだ。人類屈指の脳を持つ名人たちをも凌駕するAIの能力。そして「彼ら」の能力は、もう後には下がらない。失敗を糧に、前へ前へと進むだけなのだ。年齢とともに記憶力が衰える我々が勝てるわけがない。それならばAIを味方につけて勝つ側に回ろう、というのが今回の趣旨。ギャンブルで彼らの買い目に丸乗りすれば、自分の衰えなど気にせずに簡単に勝つ側に回れるのではないか。

■人間の力では勝てないのか

「競馬は記憶力を争うゲームである」 競馬好きにとっては、当たり前のように繰り返されてきた言葉。その言葉を実証するかのように、俗に競馬評論家と呼ばれる人たちには高学歴者が多く、昔の競馬場で見ることができた予想屋は、己の記憶力をアピールし続けた。

 しかし時代が進み、90年代になるとネット環境が整備。今まで一般の競馬ファンは新聞からしか、馬の情報を取り出すことができなかったが、他に情報を仕入れることが可能になった。たとえば、過去の戦歴を知りたいとき、競馬新聞には限られた近走の結果しか載っていない。15走前のレース結果は、自分の記憶力に頼るしかなかったのだ。それが今では、映像まで気軽に確認できるのだから、「何枠が今日は調子いい」「新聞の印通りに馬券を買う」といったヌルい戦略で競馬が勝てるわけがないのである。

 そして、平成が終わろうとしている今、人間の力で競馬は勝てない。そんな時代の足音が確実に聞こえだした。だって、そうだろう。競馬が記憶力の勝負ならば、24時間新しいデータを蓄積し続け、賢くなり続けているAIの脳に、人間の力が勝てるわけがない。人は忘れる生き物。「クッソー! そういえば2走前に、この馬、強かったんだよな~」「雨になれば走るんだよ、この馬! 忘れていた!」

 そんな競馬場で嘆くオヤジの声を聞いて、AIは失笑しながら、冷ややかな視線を飛ばしているのである。いや、笑われているだけならばよかっただろう。しかし競馬は、人間同士がお金を奪い合うゲームだ。敵は主催者でも、当然、馬でもなく、周囲で賭けている相手。AIが勝てば勝つほど、あなたが負けているのである。

 では、AIと組むということについて今度は説明しよう。PCで「競馬+AI」と検索すると、おそらく無数のそういった情報サイトを見つけることができる。「AIはまだ進化の途中」。これから数年の間に、本当に優秀なAIだけが生き残るサバイバル時代に突入するのは間違いなく、各プログラマーがしのぎを削っているのが現状だ。なので、超優秀なAIも、ポンコツAIもネット上にいる。それを見極めることは残念ながら不可能。ただ、それでも競馬場で、酒を飲みながら新聞を広げているオヤジたちよりは各段上。前置きが本当に長くなりましたが、AI予想は本当に儲かるのか!? 本誌記者が身銭を切って徹底検証!

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