日本全国「長生きできる都道府県」はどこ?の画像
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 47都道府県を詳細データで検証した結果、驚きの事実が発覚。あなたの住む地域は長寿ですか。それとも……。

 日本人男性の平均寿命は80.98歳で、女性は87.14歳。これは厚生労働省が昨年発表したデータだが、もう一つ大切な健康指標がある。「日常生活に制限のない期間」――いわゆる「健康寿命」である。簡単に言うと、病院や人の世話にならず、自立して生活できる平均的な年齢のことで、厚労省が3年ごとに調査している。この春に発表された報道資料によると、健康寿命は男性が72.14歳で女性は74.79歳。つまり、男性なら72歳くらいまでは釣りやゴルフも楽しめ、買い物も自分で車を運転して行ける。また、病院や医師の厄介になることもあまりない。いわゆる“元気な老人”でいられる平均的な期間だ。病気で寝込みがちになったり、子どもや介護士の世話にならずに生活できる。医療ジャーナリストの牧潤二氏が説明する。「いくら長生きしても、寝たきりや要介護ではどうしようもない。最近はこう考えて健康寿命を延ばす努力をする人が増えています」

 国や地方自治体も、健康寿命を延ばすことに力を入れている。病院や薬、介護にかかる医療費が抑えられるからだ。「健康データは県や市区町村ごとに公表するケースが多いのですが、これも自治体同士で競わせ、医療費を軽減させる苦肉の策でしょう」(前同)

 ちなみに、4月17日に厚労省が公表した市区町村別の「平均寿命」では、最も長生きなのは、男性が神奈川県横浜市青葉区の83.3歳、女性が沖縄県北中城村で89.0歳だったが、本記事では各都道府県の健康寿命&平均寿命について見てみよう。まず、細かいところは、記事最後の表を参照してほしい。いったいなぜ、こんなに差が出るのか?「各県の健康行政の優劣もあるのでしょうが、その地域の生活環境や食べ物の違いも大きいと思います」 こう解説するのは、県民性評論家の矢野新一氏だ。

■ワインの消費量が多い山梨県

 まずは山梨県に注目しよう。今回、男性1位で女性3位。9年間(過去3回の調査)の平均では、男女ともに1位という優良県だ。山梨県の福祉保健部健康増進課は、同県の健康寿命が高い理由として、がん検診や特定健診(成人健診)の受診率が高いことや、60歳以上の有業割合が全国2位で、高齢になっても働く人が多いことを挙げている。

 矢野氏はこれに加え、山梨の県民性もあると指摘する。「甲府商人の流れをくむ山梨県民は、お金に細かい、しっかり者――地元では“めちゃかもん”――が多いんですね。釣り場に甲府ナンバーの車がいたら、“もう魚は獲り尽くされて、いない”と言われているぐらいです(笑)」 しっかり者が多いから、安く受診できる成人健診もしっかり受ける。また、60歳過ぎても元気なうちは働こうとする。ちゃっかり、しっかりの県民性が健康寿命を押し上げていると言うのだ。

 山梨県の健康増進課はもう一つ、いまだに盛んな「無尽」もプラスになっていると分析している。無尽は地域や業者の互助会のようなもので、他の県ではあまりないが、山梨県は、この会がけっこう多いという。「無尽に参加することで人との交流が活発になり、コミュニケーションも多くなります。年を取っても、こうして人と交わることは健康に大きなプラスになります」(前出の牧氏)

 なお、山梨県民の野菜や果物の消費量は全国平均以下なのだが、ブドウの消費量は他県を圧倒してダントツに多い。「買って食べるだけでなく、ご近所から分けてもらうことも多いですね。シーズンになると、毎日のようにブドウを食べ、酒ももっぱらワインです」(山梨県民)

 ブドウの皮や赤ワインには強力な抗酸化物質(抗老化物質)のレスベラトロールが多く、心血管関連疾患の予防や寿命を延ばす作用も、マウスの実験で確認されている。山梨県の健康寿命トップの秘密は、このブドウにもあるようだ。

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