■2人は永遠の野球少年

 2人が何を話したかは明らかになっていないが、大谷からは尊敬の念が伝えられ、イチローからはややヒネリのある激励の言葉があったことは想像に難くない。それに応えるように、6日のマリナーズ戦に登板した大谷は、6回0/3で2失点という好投を見せ、投手として3勝目を挙げた。「それまでの2勝(1敗)はスプリット中心の組み立てでしたが、この試合ではカーブとスライダー中心に思い切った変更。この“臨機応変さ”こそ大谷が成功している理由であり、イチローとの共通点でもあります」(民放局スポーツ記者)

 大谷は渡米当初、オープン戦2試合で8失点、防御率27.00。打者としても32打数4安打で打率.125と、「高校生レベル」と酷評される大不振だった。「それが開幕後、別人のように活躍しているのは、オープン戦は“失敗してもいい時期”と割り切り、バッティングフォームや投げ方を徹底的に試したからです。“シーズンで結果を残す”というゴールのために、それまでの蓄積を即座に捨て去る柔軟さは、並の選手では持てません」(前同)

 思えば、イチローもそうだ。日本でトレードマークだった“振り子打法”をメジャーでは封印し、力のある球を、さらに広角に打ち分けるバッティングへ進化を遂げたことで、二度の首位打者を獲得できたのだ。「2人は永遠の野球少年というか、野球のことを24時間考えて暮らすストイックさでも共通しています。綿密なトレーニングと細かい調整で息の長い選手生活を送るイチローのように、大谷も、常に“自分との対話”を続けていける選手になるでしょう」(前同)

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