■ブルース・リーも好き

――そうでしょうね(笑)。ちなみに、海外の俳優さんだと、誰が好きでした?

柚月 ブルース・リーなんですよ。ブルース・リーの言葉足らずで、でも、これをさせたら誰もかなわない……という姿にとても魅力を感じるんです。『セーラー服~』の渡瀬さんもやっぱり言葉少なく、でも組長のためならブレない……ところがね、カッコいいな~って(笑)。これを友人に話したら、“ブルース・リーなんて、奇声を発する人殺しのおかっぱ頭のどこが良いの!?”って言われて(笑)。

――ご友人の言いたいことは何となく分かります(笑)。

柚月 百歩譲っても、女子ならジャッキー・チェンでしょって言われました(笑)。

――その気持ちも分かります(笑)。ちなみに、好きな邦画が『仁義なき戦い』ならば、好きな洋画はブルース・リー作品ですか?

柚月 ブルース・リーなら『ドラゴンへの道』ですけど、それは“初恋”なんで(笑)。繰り返し見るくらい好きなのは『タクシー・ドライバー』ですね。ロバート・デ・ニーロ演じる主人公のトラヴィスが、自分なりの正義を持っているけど、だんだんその正義がズレていく。そのことを本人も社会も世間も分からないまま、彼を英雄に持ち上げていく――。面白いとひと言では言えない映画ですよね。

――お気に入りのシーンはありますか?

柚月 自分が映っている鏡に向かって銃を向けながら「You talkin’ to me?」って問いかけるシーン。

――おぉ、アメリカ映画協会が選出した「アメリカ映画の名セリフベスト100」で10位になったシーンですね。

柚月 ホント、カッコいいというか、もうイカレてる! でもいいなって(笑)。

――そうした男性像は小説にも反映されるものですか。

柚月 私が描く男ってどこか欠けているんです。そういった人間にすごく魅力を感じるんですよね。これは私が書いた、どの小説にも共通しているんですけどね。ある意味、他人からはロクでもないとか、あいつは人としてどうよって言われるような人間だけど、その人にとっては絶対に譲れない何かを持っていて、それをストイックに守り抜いていく……とでも言うんでしょうかね。そういう姿に、非常に惹かれますね。

 なんとも“漢らしい”柚月さんが描く物語は、ハマること請け合い! 小説、映画で男たちの熱い世界を体感してみてください!

柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)

1968年5月12日、岩手県生まれ。山形県在住。2008年、『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。2013年、『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。「佐方貞人」シリーズはテレビドラマ化されるほどの人気で、今、最も注目されるミステリー作家の一人。『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞受賞。『孤狼の血』の第二部『凶犬の眼』が発売中。第三部『暴虎の牙』が岩手日報で現在連載中。

あわせて読む:
・『崖っぷちホテル』、中村倫也のツンデレ演技に視聴者悶絶!

  1. 1
  2. 2
  3. 3