■森昌子、桜田淳子、山口百恵の「中3トリオ」と同学年

――デビューといえば、伊藤さんが芸能界に入ったのは、15歳のときに公開オーディション番組『スター誕生!』で優勝したのがきっかけでした。やっぱり芸能界に憧れてたんですか?

伊藤 当時はクラスの男子のほとんどが天地真理さんに熱中してましたね(笑)。私も中学3年生の頃に、学校の休み時間に女子トイレで、仲良しグループに向けて毎日、歌ってたんです。そのときの友達の一人に、「歌のうまさで伊藤ちゃんの右に出る者はいない」ってヨイショしてくれる子がいて(笑)、その子が「番組に応募はがきを出しなよ」って、背中を押してくれて。9つ上の姉から聞いた話なんですけど、私が3~4歳の頃、親戚が集まると、『スーダラ節』とか『アンコ椿は恋の花』とかを歌っていたらしいんです。

――小さい頃から、「芸能界に進むべくして進んだ」って感じだったんですね。

伊藤 実は、私は4月2日生まれなんで、母は「桜子」と名づけたかったらしいんですよ。ところが、親戚一同から「そんな名前は芸能人みたいで、おかしい」って反対されて、「咲子」になったんです。だから、歌手デビューは生まれたときから決まっていたんじゃないかなって思うんです(笑)。

――なるほど。で、デビュー曲の『ひまわり娘』ですが、なんとロンドンでレコーディングだったとか。当時は新人のデビュー曲を、海外で録音するのは普通だったんですか?

伊藤 いえいえ(笑)。渋谷森久さんという越路吹雪さんをプロデュースされた方のひらめきで「ビートルズがレコーディングしたスタジオでやろう」ってことになったんです。2週間ぐらい行ってましたね。私はまだ15歳だったから、海外へ行ったのはこれが初めてで、最初はすごく浮かれていて……。

――そりゃ、そうでしょう。

伊藤 ところが、1週間ぐらい過ぎた頃からホームシックにかかっちゃった。もう頭をよぎるのは両親、兄弟、友達のことばっかりで、食事も喉を通らなくなって。見かねた(作詞家の)阿久悠先生がロンドン郊外にある和食屋さんに連れてってくださったりして(苦笑)。

――中学3年生の少女には荷が重かったですか(笑)。中3といえば、伊藤さんは『スタ誕!』出身の森昌子さん、桜田淳子さん、山口百恵さんの「中3トリオ」と同学年なんですよね。

伊藤 デビューの年は違いますが、この3人とは、すごく仲良くさせてもらいました。やっぱり『スタ誕!』出身という絆が強かったですね。地方収録の夜は、すっごく楽しかったな~。誰かの部屋に集合して、夜通し、おしゃべりしたり……。

――男の子のアイドルも来たんですか?

伊藤 女の子だけ! 男子禁制でしたよ(笑)。

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