■失敗を前提としていない芸人って色気が全然ない

 俺が弟子入りしたのは、バブルの直前の時代。「たけし軍団」の17番目の弟子として入り、浅草のストリップ劇場で住み込みをしながら、日給1000円で16時間働いた。兄弟子から毎日のようにかわいがられ、極貧だった。あえて、そんなどん底を志願した。まず失敗から入り、這い上がり、その上昇度を見せる。それは人生のロマンそのものでしょ。

 失敗を前提としていない芸人って色気が全然ない。師匠が、何度も失敗する。フライデー事件やバイク事故……。その都度、立ちあがった。あのふり幅、色気がすごい。芸人にとって、すべての失敗が予防接種みたいなもの。立ち上がると、笑い話になるんだから。芸人はそこを狙わないと……。ただ、成功する話、金銭的勝利は、単なる自慢話ですよ。

「水道橋博士」という名前自体が、失敗かな。「博士」なんて、ずいぶんと高下駄だから、そこにイメージを合わせないといけなくて、長年、苦労した。芸名を「三年寝太郎」とつけられていたら、そこに合わせて、ずっと自堕落な生活をして……(笑)。

 今、師匠の評伝を書く準備をしている。この本は天命だと思うの。今までに、師匠のことを書いてほしいという依頼が何度かあったけど、恐れ多いと断ってきた。だけど、ようやく長き文藝の手法の修行を終え、ようやく機も熟したと思う。

 最近は、師匠と頻繁に会ってる。いつも直立不動でね。もう、71歳と55歳ですけどね……。この年でようやく慣れてきましたが(苦笑)。

水道橋博士(すいどうばし・はかせ)
1962年、岡山県生まれ。本名は小野正芳(おのまさよし)。明治大学経営学部中退後、ビートたけしの追っかけを7か月間した後、たけし軍団に弟子入り。漫才師、コメンテーター、司会者、作家、ブロガ―などとして活躍。97年からブログ『博士の悪童日記』を毎日欠かさず、書き続ける。最近はメールマガジン編集長、Youtuber、雑貨屋「はかせのみせ」オーナーとしても注目を浴びる。

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