ーーさて都塚さんはtipToe.で作詞もされていますが、もともと歌詞とか文章を書いたりはしてたんですか?

「歌詞は書いたことなかったです。文章もブログくらいしか。だから最初に『書いてみない?』って言われたときはびっくりしました」

ーー最初は『僕たちは息をする』(ファーストアルバム『magic hour』収録)ですよね。なぜ自分にそういう話が来たんだと思いますか。

「(本間プロデューサー見て)なぜなんでしょう(笑)」

本間プロデューサー「寧々のブログを見て、言葉の使い方がきれいだなと思ったんです。表現も独特で。それで歌詞書いたらいいんじゃないかと思ってたんですけど、ちょうど『僕たちは息をする』の曲が先に出来て、誰が歌詞書く? って話になって、彼女でいいんじゃないかって。それで寧々に聴かせたら『すごくきれい、わたし書いていいんですか?』って話したの覚えてますね」

ーーはじめてだけど歌詞書いてみよう、と思ったのはなぜでしょう。

「うーん、やれることはやりたいなって思って。自分にせっかく頼んでいただいたんだから、やろうと思いました」

ーー『僕たちは息をする』はどうやって作ったか覚えてますか。

「チャイムがメロディになってたので、学校に沿ったテーマにしようとは思ってて。あとはあんまり覚えてない……(笑)。

iPhoneのメモ機能に書いていって、書いては消してって感じですね」

ーー情景を浮かばせる言葉と気持ちの断片の重ね方がすごく強いんですよね。

「文字数的にっていうのもあるんですけど、疾走感がある曲だったので走ってる感じを思い浮かべてっていうのはあったと思います。あとストレートなことはあんまり言いたくないな、ってわざと遠回しにしてたりします」

ーー直球の言葉でエモく、みたいなのはあまり好きじゃない。

「そうですね……歌に感情移入というか、共感したことがあんまりないんです。『いい曲! わー!』ってことはあるんですけど、歌詞そのものに共感はあんまりしないです」

ーー普段聴いてる音楽で歌詞が好きな人やアーティストっていますか。

「いっぱいあるんですけど、アイドル以外だと女王蜂さんとかDAOKOさん、あとドレスコーズさんとか好きです」

ーーちなみに乃木坂だと好きな歌詞ってありますか。

「かわいくて好きなのが『トキトキメキメキ』の『ブレザー脱いだ生徒が多くなってきた/校庭で真っ白なシャツが眩しい/オセロは白の勝ち』ってのがめっちゃかわいくて好きですね」

ーーそれも映像が浮かびますもんね。自分の曲をライブでやるときってどんな気持ちですか? 特に初めて披露したときとか。

「『なんかすごい!』って感じでしたね。詞として出したときは自分の言葉だって思って、恥ずかしさもあったんですけど、普通にライブで曲に乗ってると自分で書いたとかそんなに思えないんです。『そういう曲だな』って素直に受け止められる。でももともとメロディーとかも大好きなんで、好きな曲です」

ーー自分が関わってるけど冷静に好きな曲です、て感じですね。

「ただ、自分の曲に『ミョーホントゥスケ!』ってMIXが入ったのはびっくりしました(笑)。最初何言ってるのかわかんなくて、笑いそうになっちゃって。笑っちゃいけない曲なのに。いまは盛り上がってくれてうれしいなって思ってます」

今年8月、渋谷WWWでの『星降る夜、君とダンスを』のライブ映像。

 都塚さんは『僕たちは息をする』のあとも『砂糖の夜に』(ミニアルバム『thirdShoes.』収録)の詞も手がけたほか、メンバーの三原海さん生誕ライブでは、都塚さんが書いた詩を三原さんが朗読したりと、彼女の言葉が表に出ることが増えた。

 ちなみにtipToe.はメンバーの活動期間が3年と決められており、都塚さんの活動は残り約1年。今回の連載はその記録という一面も持っている。彼女を知ってる人も、これから知る人もその言葉の表情の変化を見続けてほしい。

(聞き手/大坪ケムタ)

日記と詩 三十五度九分の日々

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