■歌って踊れば一種のスポーツ

 また、運動という意味では、「カラオケも一種のスポーツ」だと志賀氏は力説する。「歌っていると体が熱くなってきますよね。血流が良くなっている証拠で、一説ではカラオケにはランニング同様、有酸素運動的な効果があるといわれています」(同)

 歌って踊るだけでも、全身運動、腹式呼吸が自然にできて体にも良いそうだ。「大阪府の泉佐野市では、2016年6月から『第一興商』の通信カラオケ装置『DKエルダーシステム』を使用しています。このシステムは高齢者向けのカラオケ曲を約4万曲も搭載。さらに、イントロ当てクイズも楽しめます」(カラオケ事情に詳しいライター) 通信カラオケ装置にも、“高齢者向け”が誕生しているのだ。

 また、歌うといえば、1950〜1960年代に大流行した『歌声喫茶』も、シニア世代にすれば懐かしい場所だろう。「今もなお営業している歌声喫茶は、全国的にあります。たとえば山形県にはシニア客の交流の場となっている歌声喫茶があり、童謡や叙情歌、ポップス、懐かしの歌謡曲などを合唱。和気あいあいとした雰囲気で、皆さん、お元気ですよ」(旅行雑誌ライター)

 前出の志賀氏によると、人間が本来持つ本能の一つに「集団欲」というものがあり、「人間には群れを作りたがる本能が備わっています。だから大勢でいると安心するし、逆に一人では生きていけない。特に高齢者は孤独を感じると、それが強いストレスとなって心身に悪い影響を与えます」

 いつまでも元気でいるためには、自ら積極的にコミュニティの場に参加すべきなのだ。「誰かと対局ができる囲碁や将棋、麻雀なんかも楽しんだほうがいいですね。指先を使って脳も刺激されるので、ボケ防止になります」(前同)

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