●「足のむくみ」林裕介さん(50代)のケース

 ある朝、ビジネスマンの林さんが、いつものように靴下をはこうとすると、ふくらはぎがむくんでいることに気がついた。「最近は、階段を上ると少し息切れするようになっていたので、てっきり運動不足のせいだと思いました。年も年だし、筋肉が落ちてしまったのかなと。まったく深く考えていませんでしたね」(林さん)

 ところが、その後、60キロだった体重が、わずか1週間ほどの間に3キロも増加。食事の量が増えたわけでもなく、さすがにおかしいと受診したところ、心不全と診断された。「心臓が悪くなると、ポンプとしての機能が弱まるので、どうしても足にむくみが出やすい。体重の増加も原因は同様で、水分の循環処理がうまくできなくなり、体の中に水分が溜まってしまうからです。当然、オシッコも出にくくなります。ちょっとした運動で息切れするようになったら、年や運動不足、肥満のせいなどと考えずに、かかりつけ医に相談してみてください」(石川氏)

●「腕の痛み」桑村健介さん(70代)のケース

 会社を定年退職した後は、悠々自適の生活を送っていたという桑村さん。ゴルフが趣味で、ある日、打ちっぱなしに行くと、右の二の腕に痛みを感じたという。筋肉痛だと思い、シップを貼って様子を見ていたが、いつまでたっても痛みは引かなかった。やがて咳まで出るようになり、知り合いの医師に相談したところ、呼吸器内科を受診するように勧められた。そして受診の結果、肺がんであることを告げられたそうだ。

「肺尖部(肺の上端)にがんができた場合、付近の神経が圧迫されて二の腕に痛みが出ることがあります」 こう解説するのは、医療ジャーナリストで、『死に至る病気の兆候を知る本』(サンドケー出版局)という著書もある牧潤二氏だ。

「その他に、肺がんの変わった症状として、ニキビができる場合もあります。また、肺がんによる咳は、よく薬局で売られているような薬が効かないのも特徴の一つです」(前同)

●「あざ」岡村賢さん(40代)のケース

 酒が大好きという岡村さんは、ある日、会社の同僚から「首に赤いあざができている」と指摘された。「飲んだとき、知らず知らずに、どこかにぶつけたのかと、全然気にしていませんでした」(岡村さん)

 だが、そのうちに手のひらまでも赤くなり、疲労感も強くなっていった。たまらず、病院に行ってみると、医師の診断は肝硬変だった。「赤いあざは、肝機能が低下し、いわゆる解毒作用が十分に行われなくなった結果、有害物質が蓄積したもの。マッチ棒の先などで押してやると、一時的に消えるのが特徴ですまた、有害物質の蓄積によって、男性なのに、胸が大きくなる場合もありますね」(前出の牧氏)

 病が進行して肝性脳症になると、手足の震えや意識障害などを起こすこともあるという。

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