斉藤由貴
※画像は斉藤由貴のデビューシングル『卒業』より

80年代アイドル美女黄金白書

第19回・斉藤由貴

 誘惑してもいいですか?」「胸騒ぎください」

 84年、明星食品「青春という名のラーメン」のCMで彼女はそうつぶやいた。

 セーラー服、ポニーテール、切なげな表情、そして清楚な雰囲気……。このCMは、当のカップ麺以上に、ひとりの少女を全国にPRすることになる。当時17歳の少女の名前は斉藤由貴(52)といった。

 これと前後して、彼女は“ミスマガジン”として、『少年マガジン』(講談社)や、その関連雑誌の表紙&巻頭グラビアを度々飾ることで、ブレイク必至の新人アイドルとして注目されていく。

 そして、85年2月に、いよいよデビューシングル『卒業』をリリース。ところがこの時、思わぬ珍事が起きていた。同時期に『卒業』というタイトルのシングルが3枚もリリースされたのだ。

 すでにトップアイドルになっていた菊池桃子(50)、欽ちゃんファミリーの倉沢淳美(51)、シンガソングライターの尾崎豊(故人)……。

 4人のアーティストによる同名異曲による競合は、“卒業戦争”といわれた。そこで、斉藤由貴は新人ながらオリコン最高位6位と大健闘。以後、メジャーなアイドルのひとりに数えられることになる。

 当時の彼女は、純度100%。清純派の手本のような存在だった。高校時代は漫研に属し、趣味は読書。ぶりっ子系でもツッパリ系でもない、文化系のキャラクターは一定層の胸に刺さった。

 続いて、テレビドラマ『スケバン刑事』(フジテレビ系)に、またもセーラー服姿で主演。「てめえら、許せねえ!」。清純派の彼女がツッパリ系のフレーズを“言わされている感”がインパクト大だった。後に『スケバン刑事』は2本の続編、3本の映画が製作される大人気シリーズとなっていく。

 86年、初主演映画『雪の断章 -情熱-』を経て、4月からは、NHK朝の連続テレビ小説『はね駒』に主演。番組は40%超の高視聴率を記録した。

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