「平成の外食」を象徴する3つのキーワードとは!?の画像
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■1 「デフレ化」

 外食産業の多くが原材料を輸入に頼っている。円高になれば、生産コストも抑えられるのは道理だ。バブル崩壊後も円高は進み、1995年4月には史上最高値の1ドル79.75円まで上昇。05年までは長期的な円高ドル安傾向が続き、その恩恵を最大限に被ったのがマクドナルドと言える。ここでは主にマックのレギュラーバーガーを例に取って、デフレと価格の関連について振り返ってみよう。

 現在、その価格は100円。しかし、1985年からの10年は最高額が210円もしていた。その代わり、ポテトとドリンク付きで390円の「サンキューセット」などを販売していた。それを95年、バブル崩壊の売上減の反動で一気に130円まで下げたのだ。

 2000年代に入ると、平日半額65円キャンペーンが打たれた。マックが「デフレ時代の勝ち組」と呼ばれた所以だ。だが、その反動も出て、すぐ曜日に関係なく一律80円とされた。65円で食べられた物が80円に値上がりしたという印象は免れない。

 価格破壊戦争を引き起こした張本人がマックだが、「ハンバーガーはジャンクフード」とのイメージが消費者に刷り込まれ、ブランドイメージが著しく損なわれた結果、創業以来29年ぶりに赤字に転落。そこで02年には最安の59円にまでさらに価格を下げる混迷に陥ったのだ。

 以来、マックのダッチロールは続いた。06年9月に100円マックが拡充され、8品目となったのは好評をもって迎えられたが、慢性的な円安傾向に加え、人出不足による人件費上昇もあって、13年にも暫時、120円に値上げされたのは記憶に新しい。

 同様に、01年まで吉野家の牛丼も400円だったのが、一気に280円に下がった。使用牛肉を米国産に限っているため、06年9月、BSE騒動後の販売再開時には380円にしたが、13年4月には再び280円に戻し、1年後には300円に、14年12月からは380円に値上げし、以降は固定している。肉の供給源が米国に限らない、競合他社はもっと細かい定価の変動を余儀なくされた。

 08年のリーマンショック不況を契機に、金の蔵に代表される均一居酒屋もブームとなったが、そこに焼鳥専業で乗り込み、急激に拡大したのが鳥貴族。全品280円(税抜)を28年も貫いてきたが、昨年10月から298円均一へと値上げし、フォロワー店も増えた結果、客離れが進んでいる。

「脱デフレ」を告げると言われた値上げだったが、たかだか10円でこの反応……。まだまだ出口の見えない証拠だろう。

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