■3 「エンタメ化」

 平成の30年はまた、93年創立の新横浜ラーメン博物館(ラー博)や大阪スカイビル地下の滝見小路などのフードテーマパーク、06年開始のご当地グルメを通じた町おこし「B-1グランプリ」、14年以来、各地で行なわれている「肉フェス」などの巨大食イベントが続々登場し、外食のエンターテインメント化の進んだ時代だった。

 ラー博もどきは大規模なものでは、アクアシティお台場内のラーメン国技館、ミニチュア版なら札幌ら〜めん共和国など全国津々浦々にある。池袋ナンジャタウン内には餃子スタジアム、アイスクリームシティ、東京デザート共和国(現在は統合されて福袋デザート横丁)と、一時期は3つのフードテーマパークがあった。

 ラー博は昭和33年の町並みを再現した、そのレトロな内観とともに多くの模倣施設を生んだ。ラー博が画期的だったのが、開業時から現在まで営業を続けている「こむらさき」など固定店以外に、期間限定店を3か月〜1年前後のスパンで全国から募る形態。一度“卒業”した店も、復活を望む声に応じて再出店するケースもある。

 一方、地方だと地元の有名店が駅ビルなどに一挙に集まり、手っ取り早くそれらの味を満喫できるというパターンが主。パークというほどの広さではないが、宇都宮の来らっせは、地元餃子会に加盟する33店のうち、常設5店並びに複数の日替り店の餃子が常に楽しめる。

 食イベントでは、東京での開催が去年で8回目を迎えた「まんパク」が壮大だ。国立昭和記念公園を舞台に、肉・海鮮・野菜・ラーメン・餃子・揚げもの・スイーツ・(ご当地の)たまエリア・物産の9ジャンルに加え、新たにチーズエリアが設けられ、1日では回りきれないほど。約20日間開催されるので、何度も訪れるファンも多いという。

 こうした食のエンタメ化を後押ししたのが、83年から30年以上も『ビッグコミックスピリッツ』誌上で連載された『美味しんぼ』などのグルメ漫画、それに93年から6年間放映されたフジテレビの『料理の鉄人』など、新趣向のグルメ番組だろう。それまでもNHK『きょうの料理』などに一流シェフは登場したが、高級食材を用いて“異種格闘技”を繰り広げる、『料理の鉄人』のレギュラー出演陣はスター扱いまでされた。海外にもコンセプトが輸出され、『アイアン・シェフ』としていまなお放映中だ。

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