■ながら運動やお風呂は?

 運動も同じで、過ぎたるは及ばざるが如し。スポーツジムで懸命に汗を流す人もいるが、「過度の運動は関節や筋肉を痛めることがあるし、体内に有害な活性酸素を生み出すことにもなります。適度な運動が健康にいいことは確かですが、効果の上では“ながら運動”や“ちょこちょこ運動”でも十分なことが証明されています」(医療ジャーナリスト)

 入浴も暑いからとシャワーですまさず湯船に浸かることで、心身にリラックス効果が生まれるのだ。

「~ねばならない」主義は捨てるべし――焦りや怒りの感情が血圧を上げ、思わぬ重大疾患の引き金になることは珍しくない。前出の石蔵氏が言う。「スポーツジムでも男性は黙々と運動するだけですが、女性は周りの人とおしゃべりしながら楽しんでいる。男性に一番足りないのは、こうしたコミュニケーション能力なんですね。実は、認知症の予防に最も大事なのはコミュニケーション力なんです。人と交わり、楽しくおしゃべりをすることは、ボケ防止はもとより、認知症になった患者さんにも効果がある」

 そして、石蔵氏は「中高年男性にとって大切なこと」を、こう説明する。「“楽しいこと”をたくさん見つけることですね。楽しみがあったら、気持ちの張りができて、これが心の健康だけでなく、体の健康にも大いにプラスになる。中高年は体が衰え、若い頃のようにスポーツをガンガン楽しむことも、ようできんようになるわけです。しかも、医者に言われて食事の楽しみも限られてくる。こうした加齢のマイナス面を克服するためにも、“楽しみ”が必要なんです」

 自分のペースでできることをゆっくりと……中高年男性の健康には、それが一番。今回紹介した危険な習慣は、今すぐ改めるべし!

■死を招く危険な習慣【その他】

●きつい靴を無理してはいている 最初はきつくてもだんだん慣れるだろうと、合わない靴をはいていると、体の骨格が歪み、万病の元になる。

●茶の間のテレビはつけっぱなし 家族との会話がなくなり、脳が受け身になっていくという。逆に、ラジオは脳機能を上げるという研究がある。

●度が強い老眼鏡を使っている 必要以上に度が強い老眼鏡を使うと、老眼や緑内障など目の成人病の進行を早める。50代は「2」以下のものを。

●通勤のときはいつも決まった道を通る 毎日同じ道を歩いたり、同じことをやっていると脳はどんどん老化する。新しい発見、興味が脳の若さを保つ。

●歯の手入れが適当 国内の研究では、歯が少ない人や義歯を使う人は、そうでない人と比べ認知症発症や転倒する危険性が高い。

●歯ブラシ以外の歯周ケアグッズがない 歯ブラシだけでは、歯垢の半分も除去できていないとされる。実は、歯間ブラシが歯垢の多くを取り除いてくれる。

●歯が抜けたまま 正常な歯の本数を持つ人に比べて、睡眠時間が短くなったり長くなったりする傾向に。乱れた睡眠が健康を悪化。

●食後に歯を磨く 就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、歯垢ができるリスクが増大する。食後ではなく就寝前に磨くのが肝心。

●早期退職する 米国人を対象とした調査では、早期退職した男性は、死亡率や病気罹患率が高いという結果が出ている。

●頭痛薬を毎日飲む アスピリン(頭痛薬)を毎日飲む高齢者には、アスピリンの効能がなく、むしろ内出血の可能性を高める。

●妻と離別して独身状態である 妻と離別した男性は、配偶者がいる男性と比べて糖尿病は12倍、肝疾患は9倍近い罹患数。死亡率も高い。

●近所にスーパーがない 65歳以上の高齢者は、自宅の近くに食料品店が少ない人ほど死亡リスクが最大1.6倍も増加することが判明。

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