(2)〈投資詐欺〉

 特に多いのが、〈不動産投資詐欺〉だ。今年5月7日、石井啓一国土交通相は、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利型住宅ローン「フラット35」を悪用したケースがあるとして、同機構に実態の解明を指示した。30代のアルバイト男性が被害を証言する。

「フラット35は国民の持ち家率を増やすのが目的で、投資用は対象外。ところが、私は年収300万円もないのに、審査が通り、投資用マンションの購入資金として、フラット35の融資を受けられました。業者は自分らの売れ残りマンションをさばくために悪用。私の年収を500万円に改竄し、住所も、そのマンションに移していました。いくら低利とはいえ、クズ物件で借り手もつかず、途方に暮れています」

 次は、今年2月に起きた投資会社・テキシアジャパンホールディングスの詐欺事件。高齢者や女性を中心に460億円も集めていた。「具体的な投資案件はまったくなかったが、プロの歌手顔負けの主犯の男が全国各地でライブを開催。“老老介護問題を解決する!”と熱っぽく語り、支持を集めました。“男は集めた金の行方を聞くが、女は感覚で物事を考えるから、女を勧誘しろ”という狙いが見事にはまった形です」(前出の松原氏)

 また、〈がん免疫療法の便乗投資詐欺〉もある。昨年、京都大特別教授・本庶佑氏の「がん免疫療法」がノーベル賞を受け、その研究を基礎に開発された免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が脚光を浴びている。「12年、山中伸弥氏がノーベル賞を受賞した際も、iPS細胞を扱う会社への投資を募る業者が出現。山中氏が所長を務める京都大学iPS細胞研究所が注意を呼びかけました」(全国紙社会部記者)

 多田氏は、こうアドバイスする。「特に高齢者の場合、電話にしろ、直接の会話にしろ、相手に話のペースを握られ、疑問に感じても言い出すきっかけを与えられず、その疑問すら忘れてしまうことがあります。一気に契約に持ち込まれそうだと思ったら、まず冷静になること。“今だけ”“期限が迫っている”などの言葉を鵜呑みにせず、その場でサインしてしまわないようにしましょう」

 投資を持ちかけるのは典型的な詐欺の手口。「楽して儲かる」という誘い文句に、だまされることなかれ。

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