■イデコや、つみたてニーサは払っていい

 やはり2000万円超の貯えが必要――途方もない数字に思えるだろうが、茫然自失となるなかれ。まずは払っていいお金と絶対払ってはいけないお金に分けることが重要なのだ。

 まずは払っていい話から。その代表格が「イデコ(iDeCo)」だ。イデコは個人型確定拠出型年金のことで、60歳になったら年金として「元本+運用益」が受け取れる。頼藤氏いわく、まだ50歳なら、「すぐにでも口座を開設し、毎月2万円(働き方や会社の年金制度により掛金の上限は変わる)掛けていったほうがいいでしょう」と語る。

 60歳までの10年間でまず、年金240万円(2万円×12月×10年=A)を確保する。もちろん元本割れのリスクはあるが、イデコの最大の利点は、掛金の全額が所得控除の対象となることだ。つまり、税率10%の所得税を納めている人なら、10年間で24万円(240万円×0.1)の税金を支払わずにすむ計算。頼藤氏は言う。「翌年の住民税も安くなります。住民税は所得にかかわらず一律10%なので、所得税と住民税を合わせ、10年間で48万円(B)浮くことになります」

 もう一つ、頼藤氏が挙げるのが「つみたてニーサ(NISA)」だ。それは年間40万円を限度に20年間投資信託などに積み立てると、その運用益がまるごと非課税になる制度だ。

 限度額いっぱいの40万円を20年間積み立てると、まず800万円(C)。そこに運用益がプラスされる。ただ、投資信託は元本割れすることもある“金融商品”。それだけに、尻込みしがちだ。ところが、「現在、食品などは商品の内容量を減らし実質値上げする動きが目立っています。そうした実質値上げ分を含めると、現在のインフレ率はおよそ年0.9%。金利が極めて低い銀行の定期預金や、ましてやタンス預金をしていると毎年、その物価上昇率分だけ資産は目減りしてしまいます」(前同)

 何もしなくてもお金が減るのだから、少々のリスクは覚悟でということなのだが、頼藤氏がこう続ける。「つみたてニーサの対象となっている金融商品は手数料が低水準で、長期・積立・分散に適したものに限定されています。あくまで過去のデータですが、金融庁によれば、国内外の株・債券に20年間分散投資すれば年2〜8%で運用できると報告しています」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4