■富士山の絶景スポットも

 温泉があり、グルメが豊富で景勝地であり、避暑地であり、利便性もよく、さらに移住者コミュニティもある。そんな、シニアが理想とするリゾートの条件をすべて兼ね備えた移住地の例として、富士山や八ヶ岳の絶景スポットとして知られる、山梨県北杜市が挙げられる。

「北杜市は移住地の中でも人気ナンバーワンで、18年の移住人数は768人という実績があります。自治体も真剣に取り組み、受け入れ態勢が整っているから、移住失敗者が少ない印象ですね」(前出の高橋氏)

 そうした自治体を見つければ、もう安心……とするのは早計だ。注意すべき点は、まだある。

「年金以外の生活費を稼ごうにも、地方はシルバー人材センターがないことが多い。都会から地方に来て、急に“やりがい”がなくなってしまったシニアが、気力を失ってしまうケースはよくあります」(前出の泉谷氏)

 さらに、泉谷氏は「“のんびり趣味の釣りでもして、余生を悠々自適に過ごしたいから”という動機で移住するような人に限って、移住したとたん趣味をやらなくなることもある」と言う。やりがいや生きがい、自分の居場所を、その土地で見つけることが重要なのだ。

「移住を考える前に、まずプランをしっかりと練ってほしいですね。誰と、どこで、何をして暮らすか、シミュレーションしておくんです。そうした計画を元に相談に来てくれれば、こちらもすぐに、条件に合った受け入れ態勢万全な、全国の移住先を紹介することができます」(高橋氏)

 楽しい老後を送るために、「移住プラン」を練っておいて損はなし!

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