■アウトドアに病気のタネが!

 夏になると、キャンプや山歩きなどアウトドアの機会が増えるのだが、自然の中には“病気のタネ”が潜んでいることである。あの富士山への登山も高山病の落とし穴がある。ちなみに、標高2500〜3000メートルになると、40%の人に頭痛や脱力感、立ちくらみなど高山病の症状が出るとされ、最悪の場合、意識混濁などで“登ったきり”になることもある。

「家族でハイキングができるような低い山や森でも命に関わる危険があります」 こう話すのは『うまい雑草、ヤバイ野草』などの著書がある科学ジャーナリストの森昭彦氏だ。スズメバチもその一つで、毎年10人以上が“ハチの一刺し”で死亡している。「スズメバチは倒木の下に巣を作ることが多いですが、巣のある倒木を踏んだりすると地雷を踏んだのと同じで、ハチの集中攻撃を受けることになります」(前同)

 対策は、(8)むやみにハイキングコースを外れず、攻撃スイッチとなるきつい整髪剤や香水、黒い服は避けるなどだ。

 草むらなどにも凶悪な害虫が待ち受けていることがある。マダニである。「僕も2回ぐらい噛まれたんですが、痛くも痒くもないかわり、赤茶色に太ったマダニが肌に張りついて離れないんです」(同)

 最悪の場合、マダニについたウイルスのせいで6日から2週間の潜伏期を経て、発熱、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を呈する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)になり、最悪の場合、死に至ることもある。実際、厚労省によると、この7年で426人の感染例が確認され、うち66人が死亡している。死亡例はほとんどが50歳以上なので中高齢者は特に注意が必要だ。「マダニを防ぐには、ディートという成分が30%以上入った虫除けスプレーが有効とされています」(同)

 山歩きや自然の中で散策をするときは、(9)常に危険が潜んでいると思い、しっかりと防御対策を立てる。これが、山や森で痛い目に遭わない秘訣だ。

 最近は河原でバーベキューをしたり、田舎の貸し農園で野菜栽培をする人も多い。ここにも、さまざまな落とし穴がある。「今年7月、兵庫県の小学校の調理実習で作ったカレーのジャガイモを食べた児童13人が、腹痛や下痢で病院に運ばれた事件がありました。これはジャガイモの皮に含まれる毒素(ソラニン類)による食中毒でした。小さなジャガイモで皮を剥かなかったことが原因です。植物毒は煮たり、焼いたりしても消えないものが多いんですよ」(前出の森氏)

 また、河原でバーベキューをしているときに下手に枯れ木をくべて、とんでもない目に遭うこともある。「街路樹のキョウチクトウは強い毒性があり、葉っぱなどを口にするのはむろんのこと、生木を燃した煙でも嘔気や嘔吐、倦怠感、下痢、めまいなどの症状が出ます」(前同)

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