■野村克也は古田敦也や田中将大を育て上げて

 人材育成の名手といわれる野村克也元監督が、手塩にかけて育てた弟子の最高傑作が古田敦也といわれる。「もともと、野村監督は大卒でメガネをかけた古田の獲得には乗り気ではなかった。ただ、入ってきてからは常にベンチの隣に座らせて、野球学を伝授していました」(スポーツ紙デスク)

 毎日のようにノムさんから浴びせられる「ボケ、バカ、お前がいるから負けるんや」という罵倒に耐え、古田は大きく成長したのだ。

 野村のもう一人の弟子、マー君こと田中将大の場合は、それほど罵倒されることはなかったという。「高校を出たばかりだから、あんまり厳しいことを言っても、という気持ちがあったのかもしれません」(楽天担当記者)

 1年目から先発で起用し、最初の数試合なかなか勝てなかったときも、「2軍に落とす気はなかった」という野村監督の期待に応えて、1年目から11勝を挙げた田中。今でも野村の教えが身についているという。

 たとえば、“原点能力”。これは「投球で困ったら、打者の目から一番遠い外角低めに投げる」という考え方である。「メジャーでは外角低めでも簡単に打たれますが、とは言うものの、常にそこに投げられる能力だけは身につけておきたい」と田中はインタビューで答えている。

 長嶋茂雄と阿部慎之助も師弟関係にあたる。01年、ドラフト1位で巨人に入団した阿部だが、当時の監督は長嶋茂雄だった。その前年、チームを日本一に導いた村田真一がいながら、新人捕手を抜擢するのは巨人にとって大きな決断だった。「打てる捕手を欲しがった長嶋さんの思いが、阿部の1軍定着を後押ししました」(巨人軍関係者)

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