■これはグループが「作らせた」映画である

 本作はチャプター分けがされていますが、これは線で見るよりも点で見たほうがそういった素材を描きやすいからだなと思いました。線で描くとやっぱり「物語」が欲しくなるんですよ。高橋監督のAKBドキュメンタリーは震災という強烈な出来事があったからダイナミックなストーリーに否が応でもなっていました。対して本作は「点」で見せていって、その集合体が乃木坂なんだという意味合いを感じました。

 だから、西野さんの卒業もグループの中の物語ではなく、彼女自身の物語としてだけ描いているんだと思います。物語性はたしかに弱いけれども、それはこのドキュメンタリーの欠点というより、乃木坂46っていうグループの現時点がそうなんだなって思いました。だから、これはグループが作らせた映画っていうふうに見えますね。一本目ではなく、連続して制作されるからこそ生まれたんだと思います。

――監督の作家性が目立っているのではなく、乃木坂の見せ方と監督の作家性がシンクロしていたと。

 そう。シンクロしてる。作り手が1年半の間、グループをずっと見てきた眼差しの優しさが出ている作品でしたね。
 

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