■リポイド肺炎に罹っているケースが多い

 一つに、これには「ワケが分からない成分」が入っていることが挙げられる。たとえば、THCがそうだ。だが、これより問題なのは「揮発性香料を温めて吸うこと」だという。

 今回、話を聞いた呼吸器科医は「まだ、電子タバコの害については科学的根拠が確立してないので、はっきりしたことは言えませんが……」と前置きし、匿名を条件にこう説明する。「電子タバコのリキッドは、基本的にグリセリンやエチレングリコールといった脂質成分と香料です。電子タバコは、これを温めて吸引するんですが、これは香水を温めて思いっきり肺に入れるようなもの。リキッドの脂質を肺に大量に吸い込むことで、呼吸器に障害が出るのだと思います」

 実際、電子タバコで死に至ったり、呼吸器障害になった人は油脂や脂質を吸い込み発症するリポイド肺炎に罹っているケースが多い。「リポイド肺炎は燻製肉を作る仕事をしている人などに見られます。肺に脂質を吸い込んでしまうことが主因とされ、息切れや咳が続くなどの症状が表れます。電子タバコの常用者も、これと同じ状態になっているのだと思います。つまり、リキッドに含まれる油脂分を温めて大量に、そして頻繁に吸引するため、重篤なリポイド肺炎になったと考えられます」(呼吸器科医)

 アイコスなどの加熱式タバコは葉っぱを熱し、これを水蒸気に混ぜて吸うため、こうしたリポイド肺炎になることもない――と言いたいところだが、絶対安全とは言えない。「確かに煙も少なく、タールによる害もほとんどないんですが、“燃焼させず、ニコチンを蒸気とともに吸う”ことの安全性が確立しているとは言えないんですね。また、受動喫煙の問題もクリアされると思っている方がいますが、専門家の調査で加熱式タバコも受動喫煙の害があることが分かっています」(前出の牧氏)

『宮元通りクリニック』の渡會敏之院長が次のようにアドバイスする。「肺は非常にデリケートな臓器です。高齢者の場合、食べ物のちょっとした誤嚥が原因で肺炎になって命を落とすことも少なくありません。電子タバコや加熱式タバコも、これに含まれる物質が肺にどんな影響を与えるか、まだ分かっていないわけですからね。慌てて飛びつかない慎重さが必要だと思います」

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