■アイドルが到達するとき

 その一ヶ月後、新潟の商店街の大きなお祭りを見にいきました。大好きなグループのRYUTistさんがお祭りのトリとして出演をするからです。

 

https://www.youtube.com/watch?v=zrN26kKN-N8&feature=emb_title

 RYUTistさんの出演前、15分ほどの短い時間でしたが、急遽、一組のアイドルが追加発表されました。名前は、乙女座長☆銀河団さん。SNSで気になっていたアイドルです。

 メンバーの入れ替えが何度かあったそうですが、わたしが知ったときは二人組のユニットでした。たびたびアップされるふたりの会話のやりとりや、「今日もいってらっしゃい! いってきます!」という言葉と一緒にアップされる自撮り、おっとりとしたおしゃべりの動画、そういった日常のかわいい様子に加えてアツいライブ動画。

 ふたりのどちらも、「アイドルを愛しているアイドル」に見えました。画面越しじゃなくて歌が聞きたい、MCが聞きたい。そう思っていたのですが、アップされるライブスケジュールになかなか予定があわず、SNSを追っていました。

 そんなある日、ふたりは活動終了を発表しました。

 どうしよう。どうしよう、到達して終わってしまうのに見に行けない。頭の中でどうしようが回り続けます。何度、画面を見てもその文字は消えません。嘘じゃないんだ、どうしよう、画面越しのまま終わってしまう。

 終わってしまう。

 アイドルの活動終了。卒業ではなくて、終了してしまう。

 手書きの文字で発表された内容を見ているうちに、あの日、イトーヨーカドーライブを終えて、「はじまったんだな」と思った自分自身の気持ちを思い出しました。

 ふたりは、人生に到達したのかもしれない。

 なんだか急にそう思ったのです。人は、人生のあるところに到達したときに、そこはゴールではなくなるのかもしれません。そして、次がまたはじまり続ける。

 しばらく時間がすぎ、ふたりのSNSを見ては気持ちがあせっていたある日、もともとRYUTistさんを見に帰省しようと思っていたお祭りに、乙女座長☆銀河団さんが初出演をするという発表がありました。

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