■悲しさと嬉しさが同時にそこにたどり着く瞬間のこと
奇しくも、最初で最後の瞬間に立ち会えてしまったことは、奇跡のようなタイミングでした。
わたし自身が次のはじまりをむかえていた今、同じく次のはじまりをむかえるために終わりを進んでいるふたりの姿は、とても楽しそうで、終わりまでのカウントダウンなのか、はじまりからのカウントアップなのかわかりません。
アイドルをしているところが自分の目で見られて嬉しかったと同時に、きっとこれまで長く応援してきただろうファンの人たちの声援の大きさに気持ちが混乱します。もちろん、これは悪い意味ではなくて、悲しみと嬉しさが同時に頂点へ到達する瞬間を見てしまった気がしたからです。
わたしが同じ立場だったら、その瞬間までこんな風に笑顔で楽しそうに応援し続けられるでしょうか。「良かったね、おめでとう」って言い続けられるでしょうか。悲しみをふりきって笑うというのは、きっとこういうことだ。
選び取った終わりに、アイドルとファンがみんなで向かう瞬間。一瞬ずつがどんどん消えていきます。わたしは棒立ちのまま動けなくなりました。
ライブが終わり、大きな拍手が商店街に響くなかで、ふたりが涙をこらえるように目線をあげて息をすった瞬間、わたしのほうが代わりに泣いてしまいそうでした。そして思い知らされました。次のはじまりに行っても、記憶の中でアイドルはアイドルのままでいてくれることを。
この、目線をあげた瞬間の姿を、わたしはずっと忘れないだろうということに瞬時に気づかされたのです。
わたしたちが毎日を送るなかで、なにかを終了させることはそれほど多くありません。終了させる、というのは勝手に来てしまう終了ではなく、自分の意思で選び取る意味の終了です。
アイドルがアイドルのままで残っていくこと、偶然にもその一部分と自分の人生が交差したこと。それは、かけがえのない尊いできごとのような気がしました。
アイドルは、見る側のわたしたちの人生までも尊くします。そして、通過していってしまう。通過される側のわたしたちは、ありがとうって思って見送ることしかできない。でもそれでも、人生は尊いままです。なぜなら、アイドルがアイドルのまま、そのままの姿で終了をさせてくれたからです。
活動終了の最終日、わたしは現場に行くことができませんが、でも悲しいだけの気持ちにはなりません。だって、ちゃんとわたしの人生は尊いままでいられるからです。
ねえ。そんなのすごいよね、まぶしすぎて、一生好きだよ。
https://www.youtube.com/watch?v=FCPxQl8dcH0
乙女座長☆銀河団
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