■個人病院はクリニックの看板に注目

 次は、地域密着型の「個人病院」。まず注目すべきは、クリニックの看板だ。医師の名前が1人しか書かれていないにもかかわらず、「内科」「小児科」「皮膚科」「耳鼻科」などと、多くの診療科目を掲げている場合は要注意。患者を集めるため、専門ではない科目まで挙げている可能性があるからだ。こうした病院では、的確な診断が受けられない恐れもある。「特に、自治体の生活習慣病検診を近所のクリニックで受診する際、内科の専門医でない医師にかかって、どれだけ生活習慣病予防のための指導が受けられるかは疑問です」(医療ジャーナリストの牧潤二氏)

 ちなみに、医師の専門科目は、病院の看板などで診療科目の一番上に掲げることが多いようだ。「ただ、複数の診療科目を掲げていても、専門医として認定を受けている人は大丈夫です。たとえば、その医師の得意分野が内科なら、日本内科学会のホームページで、その医師が専門医に認定されているかどうか確認できます」(前同)

 最近では医療の分化が進み、個人病院の役割の一つに、患者の選り分けがあるといわれている。つまり個人病院は、治せる疾患には対応し、手に負えない病気の患者には紹介状を書いて、地域医療支援病院などに送り出す役目を担っているのだ。「最悪なのが“患者を抱え込む”医師。初診で“とりあえず様子をみましょう”と診断され、後日、再診した際にも、また“もう少し様子をみましょう”と言われたら、疑ったほうがいいですね」(同)

 2週間たっても症状が改善しないのに、このような対応だった場合は、抱え込みされているとみるべきだろう。また、最近は少なくなってきたが、「抗生物質をすぐ出したがる」医師も危ない。「抗生物質は風邪の原因とされるウイルスに効かないどころか、耐性菌を作りしてしまい、本当に抗生物質が必要なときに効かなくなる危険性まで生じます」(前出の医療関係者)

 風邪と診断し、抗生物質を処方する医者は、“ヤブ医者”を疑うべきだろう。

 さらに個人病院では、緊急時の対応にも差が出る。「自宅で開業している場合はともかく、最近は貸しビルで開業し、夜間に医師が不在のクリニックが増えてきています。ただ、『電話再診』といって、電話で患者の相談に答えたら、クリニック側が診療報酬を受け取れる制度もあるんです」(前出の牧氏)

 つまり、病院側に時間外対応の有無を聞いてみて、電話での応対をしないという回答ならば、“かかりつけ医”にはふさわしくないということになる。「患者にすれば、医師に電話するのをためらってしまいがちですが、診療報酬は発生するので申し訳ないと思わず、堂々と問い合わせすればいいんです」(前同)

 また牧氏は、“ニオイ”もブラック病院を見抜くポイントだと語る。「ふだん取材していて、よく“あれっ?”と思うのは、トイレ臭が漂うクリニック。そういうところは衛生面がルーズなことが多いですね」

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