■成功ホルモン減退で寝たきりに?

「“テストステロン”という男性ホルモンがあるんですが、これを分かりやすく“成功ホルモン”と呼びます。主に男性の話ですが、この成功ホルモンは20代をピークに50代まででだいたい分泌量が半分に減るんです。そのせいで、男性の更年期障害が生じるケースがある。

 男性の場合、症状が女性よりもマイルドなことが多く、それほど注目されませんでしたが、近年は悩みを訴える方も多くなっている。特に50代で症状が表れるんですが、仕事意欲の減退、性欲減退、体脂肪が増えて筋肉量が減り、20~30代のときのような動きができなくなって疲れが出てくる。そういった症状から、ドロップアウトされちゃう方が稀にいらっしゃるんです」(河合医師、以下同)

――仕事を辞めてしまう

「仕事を辞めてしまうということですね。意欲がなくなると、うつのような症状になります。うつ病だと間違われてしまう方が3割ほどいらっしゃると聞いたこともあります。また、精神科を受診されている高齢の男性の方の3割ぐらいは成功ホルモンの低下の症状だろうと言われています。病気の状態に近いので“いくらがんばれ”といってもがんばれないわけです。

 それだけではありません。成功ホルモンが減少すると、血管の弾力性も衰えます。メタボリック症候群なども重なって、細かい血管障害に陥ると、糖尿病に近い症状が表れる。そしてEDにもつながってくるんです。性欲がない、性交渉がない、すると夫婦関係が悪くなるということになってきます」

――身体的にも大きく影響する?

「成功ホルモンの一番のテーマなのかもしれませんが、長い目で見ると“寝たきり”になる可能性まであります。骨密度が下がり、骨折しやすくなる。そして筋力が衰える。認知症とまでは言いませんがそれに近い状態にもなって、トータルすると最後は寝たきりになっていきます。

 寿命は長いんですが、体が追いついていないので寝たきり期間が生じてしまいます。寝たきりになると介護の負担は相当なもの。それを予防するために成功ホルモンを増やしていくのが重要になってくるんです」

  1. 1
  2. 2
  3. 3