招待客に関するリストが廃棄され…

 前出の全国紙政治担当記者が続ける。

「問題はここからです。疑惑に関する安倍首相の答弁や行動が、ことごとく野党側の不信感を煽るものばかりだったんです。

 代表的な例が”詳細な招待客リストの廃棄”です。5月9日に共産党の宮本徹衆院議員が招待者や実際の参加者の人数、費用明細など、詳細を紙面で提出するように求めたのですが、同日に内閣府人事が書類をすべて廃棄していた。これについて酒田元洋官房総務課長は”書類の数があまりに多かったため、大型シュレッダーを使う必要があった。しかし、利用が立て込んでいたために5月9日の利用になった”という旨の主張を野党ヒアリングで行いました。

 資料の廃棄については、廃棄から5か月後(2019年10月)に、内閣は文書保存基準に関する内規を変更していたんです。行事に関する文書保存対象の範囲を狭め、期間も”1年”から”1年未満”に変更しており、野党は”招待者名簿の廃棄を正当化できるよう後で内規を変更したのではないか”と反発しました。

 極めつけは招待客名簿の”電子データ”までが削除され、復元不可能とされている件についての答弁。電子データ復元の可能性について、安倍首相は”復元することは考えていない”という答弁書を12月10日に閣議決定しています。

 立憲民主党・中谷一馬議員は”ここまではっきり言うのかと驚いた。答弁書は安倍内閣の意思を示す最も重い文書だ。自分たちに都合の悪い公文書を隠したいという意図があるとしか考えられない”と批判していますね」(同)

 名簿の廃棄については一貫した姿勢の安倍首相だが、自身と招待客についての関係性については、発言が変わっている。

 11月8日の国会では”主催者としてあいさつや接遇は行うが、招待者の取りまとめには関与していない”と語気を強めていたものの、同月20日には”私の事務所が内閣官房の推薦依頼を受け、参加希望者を募ってきた。私自身も事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった”と発言しているのだ。

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