乃木坂46『サヨナラの意味』
※画像は乃木坂46『サヨナラの意味』より

乃木坂46「個人PVという実験場」

第5回 乃木坂46のドラマ作品を担う柳沢翔 4/4

■乃木坂46×柳沢翔のルーツ

 本連載ではここ3週ほどを使って、堀未央奈の個人PV『MILK』や『サヨナラの意味』MV、『乃木坂シネマズ』の齋藤飛鳥主演作「鳥,貴族」にふれながら、乃木坂46×柳沢翔監督作品に継続的に見いだされる、異質な他者同士の関わりにまつわるテーマをみてきた。

 それらの物語は、必ずしも順調に希望を託せる結末ばかりを描いていたわけではない。けれども、もしくはそれゆえに、相互が理解することや溶け合うことの貴さが浮かび上がっていた。

 また、乃木坂46と柳沢翔が組んだ最新ドラマである「鳥,貴族」の描写が示すのは、異なる者たち同士の関係が、ときに体制による強硬な政策を原因にして決定的に分断され悪化してゆくさまである。「鳥,貴族」はそうした状況が根本的に解消されない世界を描くゆえに、切なくやるせないエンディングを迎える。

 ただしまた、乃木坂46と柳沢翔との関わりを振り返るとき、人々を分断しようとする権力を軽やかに打破してゆくような物語を、初期MVのなかに見つけることができる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3