https://www.youtube.com/watch?v=lSWkNr9vlIY
(※「路面電車の街」Short Ver.)

 仲の良い四人グループのなかの一人がいなくなったことをきっかけに、次第に集うことをやめてしまった残りの三人が、五年の歳月を経たのち再会する――。

 ノスタルジーを切り取るスチール写真や田園風景を印象的に用いつつ、もう会うことのないかつての友人との日々を思うセンチメンタルさが全面に強く表されたこのMVは、前週までに扱ってきたような山岸の作品とは異なった手触りをもつ。

 その一方で、このMV中に登場する他人の車の上やベンチに座る堀や山下と、それをぼんやりと見つめて佇む人々を捉えたカットは、これまでの山岸作品に通底するオフビートな雰囲気をまとったものだ。ただし、堀や山下がその場に座って物思いに耽るに至る背景が、この映像のなかでは雄弁に語られてもいる。

 それゆえに、これらのカットは単にユーモラスなのではなく、その人物の心情やこれまでの経緯と地続きになった絵面として提示される。それはまた翻って、これまでの山岸作品に登場する人物たちもまた、可笑しみを演出するための記号としてあるのではなく、それぞれの個人が生をまっとうしているプロセスの一部だったのだということを気づかせてくれる。

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