新型コロナウィルスの感染拡大により「世界選手権の中止」という前代未聞のかたちで幕を閉じた今シーズンのフィギュアスケート。“絶対王者”ともいわれる羽生結弦(25)だが、今季はかつてないほど苦しい1年だったといえるだろう。
「羽生は2019年3月に行われた世界選手権で、ネイサン・チェン(20)に敗れて2位に終わり、“負けは死も同然”と答えるほどショックを受けていました。その悔しさを闘志に変え、翌4月には公の場で“クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を初めて公式試合で決める人になりたい”と新技への意欲を口にし、“打倒・ネイサン”に燃えていました。
ところが今シーズン、クワッドアクセルが成功することはなく、12月に行われたグランプリファイナルではまたしてもネイサンに敗れ2位に。その2週間後に行われた全日本選手権では、シニアになって初めて宇野昌磨(22)にも敗北を喫し、厳しい状況が続きました」(スポーツライター)
昨年12月には25歳の誕生日を迎えた。若手選手の台頭も目立ち、「羽生の引退も近いのでは……」と不安に思ったファンは少なくない。
「すでに五輪二連覇も達成し、来季に向けてモチベーションを維持するだけでも難しいと考えるのが当然の見方です。しかし、羽生の頭のなかには“引退”の二文字は最初からなかったと思います。むしろ、今シーズンの敗北や悔しさ、ネイサンへの対抗意欲をモチベーションに変え、もっと高みを目指す覚悟を決めていたのです」(前出のスポーツライター)