■出待ちの女の子が何十人

『激突!漫才新幹線』が成功すると、同年4月から『THE MANZAI』(フジテレビ系)が始まる。ネタを披露するだけのシンプルな構成だが、ポップな演出やセットで、当時の若者の心をつかんだ。同番組は82年6月まで全11回放送され、日本に空前の「漫才ブーム」を巻き起こす。『THE MANZAI』には『激突!漫才新幹線』のメンバーに加え、ツービート、島田紳助・松本竜介、オール阪神・巨人、西川のりお・上方よしお、ザ・ぼんち、おぼん・こぼんが登場した。

 “ショー”の要素を取り入れたネタで人気を博したおぼん・こぼんのおぼん師匠は、漫才ブームのすさまじさをこう振り返る。「土・日になるとB&Bやツービートと、全国のホールを回ってね。公演が終わると、出待ちの女の子が何十人といたんです。数万円だった月収はあっという間にウン百万円になったけど、寝る暇がないくらい忙しくて“お金はいらないから休ませてくれ”と言ったこともありました」

 紳竜は、レーシングスーツでヤンキーネタを披露するヒール的存在だった。

竜介 彼、ようケンカしはるねん。相手いうたら小学生か、おじい。絶対勝てると分かる奴としかせえへん。

紳助 そない褒められたら照れるやないか〜。

竜介 アホか!

紳助 おじいと小学生には連勝してまんねん。2引き分けを挟んでますけどね。

竜介 アホ! 誰と引き分けてんねん!

紳助 最近は小学生でも高学年は強いで〜。ランドセルを振り回してたから、金具が目に当たらへんかと怖くてな。

ダウンタウンが、紳竜の漫才に影響を受けているのは有名な話です」(バラエティ番組構成作家)

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