■「ヒール横綱」朝青龍

 さて、平成時代をかき回した「ヒール横綱」と言えば、朝青龍だ。03年春場所、横綱に昇進した朝青龍は04年に入ると絶好調。2場所連続全勝優勝で35連勝とし、夏場所6日目は全勝同士、平幕・北勝力戦が組まれた。この場所、3大関を撃破して波に乗る北勝力の勢いは止まらなかった。得意のノド輪が冴えまくる北勝力の腕を外しきれず、朝青龍はドスンと土俵に仰向けにひっくり返り、連勝がストップしてしまう。

 千秋楽、2敗の両者は、優勝決定戦で再び対戦するのだが……。「朝青龍の(11日目の)2敗目もオレ。いわば、朝青龍の優勝を邪魔する白星だったから、このとき、オレはモンゴル中の人に責められたんだ。“先輩なら、朝青龍に勝たせてやれよ”って。ヒドイよね~(笑)」(友綱親方)

 この優勝で3連覇を果たした朝青龍は、優勝回数を25回まで重ねていく。

 このように、さまざまな名場面があった夏場所。本場所が4か月間開催されないことで、力士のモチベーションの低下が心配されるところだが……。「私の親父の現役時代なんか、1年に2場所だけですからね(現在は年に6場所)。力士の体というものは、一朝一夕で作り上げたものじゃない。基礎がしっかりしているので、“本場所がないから、体力的に衰える”なんてことはないですよ。逆に、力士諸君には、今はケガを治すいいチャンスだと考えてもらいたい。このチャンスを自分のモノにした力士が勝っていく。そういう角度で見れば、大相撲も違った意味で面白いんじゃないかな?」(増位山)

 手に汗握る名勝負を再び見るために、次の場所が開催されることを祈ろう。

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