■家族との関係は円満に

 冒頭で触れたように、長生きする人は、家族との関係が円満なことが多い。中高年夫婦のカウンセリングにも力を入れる、石蔵文信・大阪大学人間科学研究科招へい教授(循環器専門医=医学博士)は「一番身近な奥さんに見放される夫が意外に多い」という。「夫は“妻が死ぬまで面倒みてくれる”と信じているのですが、妻は爆発寸前。内心、いつ別れようかというケースもあります」

 こうなると老後は独りぼっち。長寿どころか孤独死なんてことになりかねない。「夫が外でバリバリ働いていた頃は、多少不満があってもガマンしてるんですが、夫の収入が減ったり、定年になったりすると、不満が一気に出てくる。夫は、こうした不満に気がついていないのも問題ですね」

 たとえば、たまに皿を洗って「皿洗ってやったぞ」と、上から目線で話す。「奥さんにしてみれば、もう仕事もあまりしてないんだから、皿洗いは当たり前のこと。それを“おまえの仕事をしてやった”みたいな言い方をするから、カチンとくるわけです」

 また、食事を作っても感謝どころか、文句さえ言う。気晴らしに友達と会おうとすれば、「いつ帰るのか」と不満顔をする……。「中高年の夫は、妻との関係をもう一度、真剣に考え直す必要があると思います。そうでなければ、本当に熟年離婚されてしまいます」

 子どもやご近所との人間関係もしかり。いつまでも会社の大将気分で、上から目線で人とつきあっていたら、どんどん人が離れてしまう。

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