■カッコよさを排除した見た目

 娘2人はなかなか渋いセンスだと思われたようだが、この『教場』は、業界関係者からの評価も抜群に高いという。

「これまで俳優としての木村さんには、“何をやってもカッコいいキムタク”という評価がほとんどだった。だからこそ、『あすなろ白書』での背後から女性を抱きしめる“あすなろ抱き”や、『ロングバケーション』(いずれもフジテレビ系)のプロポーズシーンで“ハイって言わないとチューするよ”といったキザだけど木村さんがやるとたまらなくカッコいい名シーンが生まれたと言えます。

 しかし、『教場』での木村さんは、カッコよさの部分を封印して、それが見事にハマりました。ドラマ界、芸能プロ関係者の間でも、『教場』の木村さんの演技を絶賛する声は多くあり、木村さん自身もかなり手応えがあったという話ですよね」(民放キー局プロデューサー)

 多くの視聴者、そして芸能関係者を虜にした『教場』。その魅力が詰まっているという名シーンを、複数のWEBサイトで仕事をするドラマウォッチャーに挙げてもらった。

「まず、木村さんが演じる、風間教官は白髪で、右目が義眼なのに視線が鋭く、決して笑わない冷徹な印象を受ける人物なのですが、心の底では誰よりも生徒のことを考えている。こうした人物像が表れているシーンが大島優子(31)が演じる楠本しのぶが機械式駐車場で足を挟まれたシーンでしょう。

 楠本は、足を挟まれて一時は意識を失った後、風間に助けを求めますが“挟まれたのは何時頃か?”と風間は冷静に状況を聞くのみ。事故現場に来てからも、機械からすぐに助け出さず、楠本と罠にハメた友人との関係を徹底的に聞くだけでした。

 ここだけ見ると、風間の残酷さが際立つのですが、後の救命講習のシーンで挫滅症候群という、長時間にわたって圧迫された人を解放したときに起こる体の異常の説明がされます。このときに、楠本は風間が自身の体を気遣ってあえて助けなかったことを知るんです。同時に、視聴者は風間がただ厳しく冷たいだけではないと、知ることができるシーンだったと思います」

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