■パブリックイメージを壊す暴言

 次にドラマウォッチャーが取り上げたのは、後編の序盤で井之脇海(24)が演じる南原哲久が起こしたトラブルの場面だ。

「南原は拳銃を密造するとんでもない生徒なのですが、その拳銃を学校に持ち込んでいたことが風間にバレてしまいます。風間は、南原が密造した拳銃を別の教官に発見させて、その銃を手に南原を追い詰め、隠された別の生徒の警察手帳の在り処を聞きます。この拳銃は暴発の危険性もあり、実際に南原はそれで負傷しているのですが、風間は“構わん。すでに右目は失っている”と意に介さず、視線を一切そらさず執拗に南原を攻め立てます。

 あくまで教官だし、木村が演じているわけだから、暴力的なことはないだろう、と最初は思っていたのですが、風間がサングラスを外したあたりから、“あれ? 本当に生徒を撃ってしまうのか”と思うほどの異常な緊迫感が漂っていました。結局、風間は射撃の的に向かって発砲するのですが、生きている南原を見て、ものすごくホッとさせられました。映画『HERO』の裁判シーンでもこんなに緊張しなかったですし、今までの木村の出演作にない怖さがありました」

 最後に挙げたのは後編の終盤、味方良介(27)が好演した都築耀太が風間に追い詰められるシーンだ。

「都築は成績優秀で、謎の多い風間の過去を詮索する以外は、問題も起こさずにラストまできました。しかし、卒業試験のときになって初めて、警察官になった理由を風間に問いただされます。その理由は、都築の父親と関係があるのですが、それを知った風間は“出来が悪いのは父親似だ”“親子揃ってクズだと知れ”など痛烈な台詞で都築を追い詰めます。役とはいえ、こんな鋭利な言葉を、冷たすぎる態度で言い放つ木村は新鮮でした。最後の最後まで今までの木村のパブリックイメージを壊しにくる演出はさすがでした」(前同)

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