■新しい風も欠かさない

 そして、時代劇のような伝統にのっとるだけではなく、新しい要素やチャレンジ精神あふれる“ハズシ”ともいえる配役も必ず用意している。これは『半沢~』だけでなく、最近のTBSドラマ全体に言えることだ。

 近年のTBSドラマのチャレンジ精神はめざましいものがある。20年のドラマでは、『テセウスの船』では、演技経験ゼロの霜降り明星せいや(27)に超重要人物を演じさせたり、刑事ドラマ『MIU404』では、初回でまるで映画のようなカーアクションを見せたり、第3話では菅田将暉(26)が事前告知なしのサプライズで出演し、準レギュラー入りしたりと、視聴者の予想を超える展開を重ねている。

「今回の『半沢』にも、 “就職氷河期世代で苦労し、バブル世代を嫌悪している若手社員・森山”として賀来賢人(31)が出演しています。賀来は実力派で実績もありますが、ベテラン揃いで30代後半ですら若手レベルの『半沢』では、群を抜いて若い。

 にもかかわらず、1話では口だけの上司に理詰めで歯向かったり、“いいように使われるんですか!”と理不尽さに激怒したり、堺と同等に渡り合っていることから、SNSでは“賀来賢人すごい”“振れ幅がヤバい”と大盛況でした」(専門誌記者)

『テセウス』と同じく、いわゆる”芸人俳優”からも、目が離せない。第1話の時点でお笑いトリオ・東京03の角田晃広(46)が小物感あふれる銀行出向組・三木を熱演し、見事な小悪党ぶりを披露した。時代劇で言うと、越後屋のような腰巾着のポジションが絶妙にハマり、ドラマを大いに盛り上げている。大筋が原作通りなら、今後も超重要な存在として活躍すると考えられる。

 また、配役は明かされていないが、名バイプレイヤーの側面も持つお笑い芸人、アンジャッシュ児嶋一哉(48)も出演が決定している。こうしたキャスティングの妙には、今後も期待が高まるばかりだ。

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