で、この日放送されていたのは、そんな彼女がさまざまな分野の達人に会ってそのスゴ技を見に行き、チャレンジしてみるという企画の総集編だった。

 多くの場合、バラエティ番組でのこの手のチャレンジ企画のコンテンツは”努力”だ。簡単にはマスターできない技に何度も挑戦する。しかし当然、その前で挫折を味わう。額には汗が滲み、手にはテーピングが巻かれ、足にはマメが出来たりする。その上で、見事達成。あるいはドクターストップで泣く泣く続行不能に。そんな努力のプロセスが活写される。仲間の支えなどがあるとなお良い。

 ただ、森川は違う。最初にそのセンスを見せつけたのは、けん玉の達人の元を訪れたときのこと。達人は“究極奥義”として、玉の穴が2ミリ、けん先が1ミリしかないけん玉の技を見せつける。それを見ていた森川は「やってみたい」と口にする。彼女はけん玉初心者だ。にもかかわらず、「基本ができてないと絶対出来ません」と豪語する達人の目の前で、“究極奥義”をあっさりと成功させてしまうのだった。

 その後も、クレーンゲームにチャレンジすると、達人がとれなかったアイテムを一発で獲ってしまう。バランスの悪い石の上に石を立てる達人が半年かかったという技を、すぐに成功させてしまう。水切り(水面に石を投げて跳ねさせるやつ)の達人に入門すると、多少時間がかかったものの、結局、女性の日本王者が出した21回の記録を上回る22回の水切りを成功させてしまう。

 森川の快進撃は続く。ゴム銃の精密射撃にチャレンジすると、世界ランク3位の達人と同レベルに到達してしまう。ダイススタッキング(サイコロをカップの中で振って縦に積み上げるやつ)の達人が成功に半年かかった技も、1発でほぼできてしまう。スポーツスタッキング(カップを積み上げたり崩したりしてタイムを競うやつ)も、他のチャレンジに比べ苦労はするものの、最終的に大技をあっさり成功させてしまう。

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