しかし、実家で暮らしていたみくりに家族の引っ越しの話が持ち上がる。ひとり暮らしが経済的に難しいみくりは着いて行かざるを得ないが、そうなると家事代行の仕事は続けられない。彼女はすでに、その仕事にやりがいを感じ始めていた。そこで、同じ家で生活しつつ家事に賃金を支払う「契約結婚」の話をポロッと平匡に持ちかける。それに平匡が応じ、2人は形式上の「事実婚」という形で一緒に暮らし始めることになるのだが――。

 エンディングの恋ダンスも含め、人気を博したこのドラマ。あらすじを説明するまでもない人も多いだろう。私も放送当時、毎週楽しみに見ていたひとりだ。2人が一緒に暮らし始めた後に何が起こるかも、だいたいわかっている。

 でも、見てしまった。まんまと。

 ストーリーが面白いからもう一度見たい、という理由ももちろんある。けれど、新垣がかわいかったからという点を欠かすことはやはり難しい。今回の特別編は未公開シーンを追加しつつ、一部シーンがカットされるなどして放送されていた。けれど、新垣が魅力的なところは余すところなく放送されていた印象を受ける。星野の出演シーンが少しわかりにくくなってもいいから、かわいい新垣はすべて残す。そんな編集方針だったのではないかとすら邪推する。

 そもそも、このドラマの中心的なテーマのひとつは家事労働の問題だった。外部に委託すれば賃金が発生する仕事が、なぜ夫婦間だと無償になるのか。なぜ“愛”が介在すると、支払われるものが支払われなくなるのか。ここには搾取の構造があるのではないか――。

 そんなフェミニズムの直球の問題意識を中心に据えたドラマが、多くの人から楽しまれていた。そこにはストーリーや演出などさまざまな理由があったのだろう。けれどもやはり、新垣がかわいかったからという点を欠かすことも難しい。

 4年ぶりに改めて放送された『逃げ恥』。スキップボタンはやはり押せなかった。


(文・飲用てれび)

テレビの中の女たち

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