悪魔を演じるには体力がいる(はず)。栄養補給にはなんといっても町中華だ。夏帆の元カレだって先の対談で語っているではないか。「お昼は作業着を着た建築系の人が多かったりして、盛りも多めで」。天下の小沢仁志曰く、「野菜が大量に取れるのがいいじゃん」。ラードで炒めて餡で絡めた圧縮野菜が、肉に塗れた胃袋を浄化してくれるのだ。

 とはいえ、珉亭の来店者の5割が頼むのがラーチャン定食(税抜850円)。ラーメンとチャーハンそれぞれのハーフに、店オリジナルの漬物「辣白菜(ラッパーサイ)」の小皿が添えられる。つまり店の名物3点がセットになって出てくるのだ。一人で行けば、これに餃子かバンジーを付けるのが関の山。夏帆のようによく喰らう彼女を同伴したいものだ。

 一見、キムチのような辣白菜はさほど辛くはなく、旨味調味料が効いていて、ビールや冷酒がガンガン進んでしまう。そのぶん塩分控えめのチャーハンのお供にもピッタリだ。珉亭のチャーハンは独特のピンク色なのだが、それも食紅を使ったチャーシューを使うせい。本場中国の赤く着色して焼くチャーシューに倣った。

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