松村沙友理と星野みなみ、斉藤優里PVに見る「コミュニケーションの機微」【乃木坂46「個人PVという実験場」第9回 2/3】の画像
※乃木坂46星野みなみ/画像は本サイトの記事(https://post.exweb.jp/articles/-/70918)より抜粋

乃木坂46「個人PVという実験場」

第9回 山田篤宏監督作品 2/3

松村沙友理星野みなみがシンクロするドラマ

 2014年、当時研究生だった2期メンバーを主演に迎えて山田篤宏が描いたショートドラマ「a trainee’s fugue」は、日を同じくして校舎に居合わせた8人(見えざる主役としての矢田里沙子を含めれば9人)を3つの視点から捉え、各エピソード同士を相互に関連させるものだった(/articles/-/80897)。個人PVという、単独主演を原則とする企画においてこうした複数主演・複数視点の連作が生まれ得たのは、「研究生」としての2期メンバーたちがまだ個別の個人PV枠を与えられず、ひとつのまとまりとして扱われていたという過渡期的な条件があったためだ。

 その2期生たちから「研究生」という肩書が外れ、全員が正規メンバーとして初めて制作に参加したシングルが2015年の『太陽ノック』だった。この時期、乃木坂46の個人PVでは、メンバーを二人一組にしてショートムービーを制作する「ペアPV」が企画されていた。必然的に、メンバー間に生まれる関係性や複数視点のドラマづくりといった、「a trainee’s fugue」をはじめ山田が個人PVにしばしば採り入れるようなスタイルが、はからずも企画内のいずれの作品にも大なり小なり埋め込まれることになる。こうした前提のもと、星野みなみと松村沙友理のペアPVを担当した山田は、同一シチュエーションで同一の主張をする「事件の容疑者」役を二人にあてる。

https://www.youtube.com/watch?v=DtKmOSlQOD4
(※星野みなみ&松村沙友理ペアPV「どちらかが“彼”を殺した」予告編)

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