センターとして草創期の乃木坂46を牽引してきた生駒里奈は、西野が乃木坂46に与えた影響をこう評している。実際に西野がセンターを務め、卒業するまで乃木坂46のイメージは儚さをもって語られることが多かった。それをメンバー自身も感じていたことは非常に興味深い。西野が持つ“神秘性”や“儚さ”といったイメージは乃木坂46の世界観にも影響を与えっていったのだ。

 2014年4月にリリースされた西野にとって初のセンター楽曲『気づいたら片想い』では、クリエイディブ・ディレクターの澤本嘉光の手によって、片想いの“切なさ”と限られた時間の“刹那さ”というダブルミーニングが込められたMVが作成された。

 この楽曲は西野のために作られたといってもいいほど、センター西野との見事な親和性をもっていた。西野はこの楽曲において、微細な表情の変化を通して、難しい微妙な世界観を表現し、乃木坂46の新たなイメージを作り上げていった。神秘性を纏った西野の楽曲におけるパフォーマンスは繊細でしなやかで、恍惚として見入ってしまう魅力がある。

 3度目のセンター曲となった『命は美しい』は、西野の「神秘的」イメージと内包する強さの両面が反映された楽曲となった。歌詞の重厚なテーマに反して、自身の感情を爆発させるような激しいダンスチューンで構成された同曲をパフォーマンスする姿は、パブリックイメージからは読み取れない西野の表現者としての強さ、振れ幅を十分に感じさせるものだった。

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