そして乃木坂46にとって初のレコード大賞受賞曲となった白石とのWセンター曲『インフルエンサー』で高難度のダンスパフォーマンスを見せると、西野のラスト曲『帰り道は遠回りしたくなる』では数々のオマージュが散りばめられたMVで、ストーリー仕立ての中、西野はアイドルと学生という二役を演じ、集大成となる作品の世界観を繊細に描き出す。

 西野が持つ神秘性はストーリー性を帯びた映像作品において最大化される。等身大でいて、どこか謎に満ちている神秘性や得体のしれない魅力は多くのクリエイターやファンの心を掴んで離さない。

 1stシングルから5thシングルまでセンターを務めた生駒が清楚で文化的な意味合いを付与して乃木坂らしさを作り上げていったのならば、西野はそこに“神秘性”や“儚さ”を付与していった。乃木坂46というグループは活動初期から受け継がれる乃木坂らしさを共有しつつ、西野の個性をもって、乃木坂46を新たなフェーズへと引き上げた。

(文=川崎龍也)

アイドルセンター論

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