インタビューでも「美玲さんの表現力の高さ、背中の大きさに圧倒されてから、今でも改めて目標にしたい人だって思っています」(『BUBKA』2019年12月号より)と語っている。

 小坂は圧倒的な表現力でハッピーオーラを体現してきた佐々木の姿を目標としてきたのだ。グループとして変革を迎えた時期に、その小坂がセンターに抜擢されたというのには意義があるように思う。

 いまや日向坂46の顔としてグループを牽引し注目を集めている小坂だが、グループ加入当初からそうだったわけではない。2期生のメンバーでは当初から渡邉美穂とともに雑誌の誌面を飾ることが多かった小坂は、2期生曲『半分の記憶』でセンターに抜擢される。

 だが、引っ込み思案で常に周囲の目を気にしていた小坂は、「私がセンターで納得している子なんて、ひとりもいないんだろうな」と涙ながらに語り、自分に自信が持てないでいた(『日向坂ストーリー』より)。

 しかし、「最初の頃は、なぜ自分なのかって否定的だったけど、今は与えられたポジションを全うするしかない」(『BUBKA』2019年12月号より)と表題曲のセンターを歴任するなかで、徐々にセンターとしての振り切った覚悟のようなものが芽生えていった。2期生ながらセンターを務めるなかで想像できないほどの様々な悩みや葛藤を抱えてきたと思われるが、一方で小坂の「任されたことは全力でやりきる」という責任感の強さはセンターに相応しいものがあった。

 そんな小坂がセンターとしての覚悟を見せるに至るには、日向坂46メンバーのチームワークを大切にする空気感が支えとしてあったことは指摘しておかなければならないだろう。

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