センターとして小坂に絶大な信頼を置いていた齋藤京子が『キュン』を披露する初のライブで「センター、これからもよろしくね。ついていくよ」と優しく声をかけたり(『日向坂ストーリー』より)、キャプテンの佐々木久美が率先して「こさかな」という愛称をつけて迎え入れる体制を敷いたりと、日向坂46の温かい空気感はセンターに立つ小坂に安心感を与えていた。

『アザトカワイイ』では4作品ぶりにセンターを外れ、代わりにけやき坂46時代にセンターだった佐々木美玲が立つことになった。この発表を受けて小坂はセンターを歴任することへの不安を語りながらも、新たなフォーメーションについて「自分にとってパワーアップできるようなアルバムにしたい」(『日向坂で会いましょう』より)と前向きな姿勢を見せていたのが印象的だった。

 センターに固執せずにグループのためならばどの位置でも最大限のパフォーマンスをするという、センターを経験した小坂だからこそ感じる思いの発露が見て取れた。

 これはメンバーに絶大な信頼を置いているからであり、センターとしてメンバーに支えてもらった経験がある小坂だからこその発言だろう。『アザトカワイイ』のフォーメーション発表後のブログでも「メンバーに助けられて、笑顔になって。その姿は本当逞しかった」とメンバーの存在の大きさに言及していた。

 日向坂46での活動を通して芽生えたセンターとしての真摯な覚悟と責任感の強さ、そして豊かな表現力は、センターとしてメンバーから厚い信頼を寄せられている所以である。『アザトカワイイ』ではセンターを外れてしまったが、彼女の未来は明るく輝いている。この経験を乗り越えてより磨きがかかった小坂を見られることを期待したい。

(文=川崎龍也)

アイドルセンター論

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