とはいえ、すでに方向性が定まりつつ合った乃木坂46にとって、これは白石という多方面で影響力を持ったアイドルがセンターに立つことによって生まれた世界観にほかならない。もちろん生駒の功績は評価されるべきではあるが、乃木坂46が世間一般に広く知られるきっかけとなったのは紛れもなく白石の存在があったからだろう。

 乃木坂46にとって欠かせない存在となっていった白石だが、第1回(/articles/-/83093)でも指摘したようにグループを代表する存在として語られながらも、6thシングル『ガールズルール』でセンターを務めてからは約2年後の『今、話したい誰かがいる』に至るまで、センターポジションからは遠ざかる状況が続いていた。

 そして単独のセンターとしては2018年リリースの『シンクロニシティ』までなかったわけだが、白石麻衣のセンター起用は『ガールズルール『シンクロニシティ』と常に同期の生駒里奈から引き継いでのものだった。

 というのも『シンクロニシティ』では生駒のラストシングルということで秋元康からセンターの打診を受けていたが、生駒は断っている。そこで抜擢されたのが白石だ。生駒のラストシングルを同期で、草創期のグループの人気の中心にあった白石が選ばれたのは必然だろう。

 このように白石は乃木坂46が変革を求められた際に、まるでピンチヒッターのようにセンターに立つことが多かったように思う。それは白石がこれまで積み上げてきた実績と信頼の賜物でしかない。

 テレビでもライブでも白石がセンターに立ったときの安定感は際立っていた。どんな時でも妥協せず最高のパフォーマンスを見せてくれた白石はアイドルのお手本のような人だ。

(文=川崎龍也)

アイドルセンター論

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