秋晴れが続く先月から今月にかけ、ぼくはせっせと群馬に通っている。趣味の登山に紅葉狩りを兼ね、帰りには温泉に浸って、一週間の心身の疲れを吹き飛ばす。もっとも、行きも帰りも自分の運転で出向くマイカー観光。わざわざ疲労を重ねている気もするが、平生は休日でもあまり混まない関越自動車道で埼玉を越え、新潟や長野までは行かない距離感がちょうどよいのだ。

 それも前橋・渋川伊香保IC辺りの山々がけっこう選り取りみどり。この季節に次第に色づいていく様が好ましい。ただ、群馬のご当地グルメはどこもご多分に漏れず粉物が多く、他は豚三昧。かつてならスルーして帰京してから、適当にお疲れをしていた。だが、数年前に「AERA」で高崎市が標榜する「絶メシ(絶滅に瀕した絶品グルメの意)」を取材し、地元密着の中華や洋食の実力を知って以来、考えを改めた。登山の帰りにそれらを味わうのが楽しみとなった。

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