■10億円もの資産、自己破産しても

 8月11日に多臓器不全で亡くなった須藤甚一郎さん(享年81)は、渡さんらスターを突撃取材するという、自らの仕事に誇りを持っていた。小誌でもおなじみだった須藤さんは、芸能レポーターについて、こう語った。

「俺たちは嫌われ役でいい。タレントがいるからレポーターは存在するんだ」

 前出の城下氏は、須藤さんと、テレビ番組でたびたび共演していた。

「僕にとっては叔父貴のような存在でしたね。ある俳優に“レポーターはウンコにたかるハエだ”と言われたんですが、須藤さんは“すると、あなたたちはウンコですね”と切り返した。品はなくても、粘り腰こそが芸能レポーターの基本だと教えられましたよ」

 8月28日に急性心不全で亡くなった元ザ・タイガースの岸部四郎さん(享年71)は、人生の浮き沈みを極端な形で経験した。

「タイガース解散後は、人気タレントに。一時は財テクに成功し、10億円もの資産があった。ところが、浪費癖に事業の失敗、バブル崩壊などが災いし、一転して巨額の負債が雪だるま式に増えてしまった。利息だけで月1200万円に及んだとか」(スポーツ紙記者)

 笑顔でテレビ出演しながらも、深刻な状況に追い込まれていたという。

「番組の収録が終わっても、正面玄関から出ると債権者に見つかるからと、裏口からコソコソ帰るんです。しかも、銀行振込では債権者に回って自分の手元に入らないとかで、出演ギャラは、その場で現金で受け取るわけです」(前出の川内氏)

 98年に自己破産した岸部さんは、自虐キャラとしてバラエティ番組で活躍。こんな“迷言”を吐いた。

「俺を誰や思うてんねん! 元金持ちやぞ!」

 その後は病に苦しんだ岸部さんだが、晩年は東京ドームで行われたザ・タイガースの再結成コンサートのステージに車イスで登場。仲間に囲まれて、万感の思いでビートルズの『イエスタデイ』を熱唱した。

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